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 日本建築学会は、2020年日本建築学会賞の各賞を決定した。作品部門(以下、作品賞)には、「延岡駅周辺整備プロジェクト」「パナソニックスタジアム吹田」「道の駅 ましこ」の3件が選ばれた。

延岡駅周辺整備プロジェクト
延岡駅周辺整備プロジェクト
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パナソニックスタジアム吹田
パナソニックスタジアム吹田
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道の駅 ましこ
道の駅 ましこ
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 作品賞には「近年中、国内に竣工した建築作品であって、芸術・技術の発展に寄与する優れた作品」を選出する。

 延岡駅周辺整備プロジェクトは、宮崎県北部にあるJR延岡駅の駅前を街づくりの核として再整備する事業。受賞者は乾久美子氏(乾久美子建築設計事務所)。乾氏はデザイン監修者として、ワークショップを通した市民意識の醸成、計画規模の模索から、建築設計、都市計画、街づくりまでを支援し、一体的な環境を駅周辺に創出。中心となる延岡市駅前複合施設「エンクロス」は、自らの事務所が設計を手掛けた。

 選評では、「設計者に対して需要への対応とプロセスの透明性がより強く求められる現在、本作は個人名を掲げた建築家が、それに応えられる存在であることを示している」「本プロジェクトで本質的に求められているものが一過性のにぎわいではないことに対する誠実な回答」と記された。なお、延岡駅周辺整備プロジェクトは、作品選奨も受賞している。

 パナソニックスタジアム吹田は、Jリーグ・ガンバ大阪のサッカー専用スタジアム。受賞者(設計者)は大平滋彦氏、浜谷朋之氏、奥出久人氏(いずれも竹中工務店)。コンパクト化の追求、屋根免震の採用、躯体(くたい)の8割をプレキャスト(PCa)化するなど、建設と維持にかかるエネルギーを最小限としながら、臨場感ある劇場的な観戦環境を実現。「ピッチを中心に密度高く圧縮したからこそ、どの席からも見やすく、選手の躍動が届く。最高の観戦環境は、サッカーを愛する人びとの心をつかんだ」と評価された。

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 道の駅 ましこは、栃木県益子町にある道の駅。受賞者(設計者)は原田真宏氏、原田麻魚氏(いずれもMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)。「シンプルで明快な架構により獲得された爽快な空間、周辺の山並みと呼応する屋根の造形と土という素材による地域とのつながりにより、商業施設としては稀な純度の高い建築を実現している」と評価された。

最終審査は「積極的な激論」

 作品賞の応募数は38件。審査は福島加津也氏(福島加津也+冨永祥子建築設計事務所代表、東京都市大学教授)を部会長とする作品部会が当たった。まずは9件を現地審査の対象とし、最終審査で10人の委員がそれぞれ記名で投票した。審査は「積極的な激論」(日本建築学会)となり、3回目の投票で過半数を得たのが道の駅 ましこだった。その後の4回目の投票でパナソニックスタジアム吹田と延岡駅周辺整備プロジェクトが過半数を得て、作品賞3件が決まった。

 現地審査の対象となった他の6候補は以下の通り。

■福祉型障がい児入所施設 まごころ学園
■新山口駅北口駅前広場「0番線」
■超近大プロジェクト 近畿大学東大阪キャンパス整備計画
■豊中市立文化芸術センター
■ACADEMIC-ARK@OTEMON GAKUINN UNIVERSITY
■須賀川市民交流センター tette