全1858文字
PR

2019年に開業したばかりの「アパホテル&リゾート横浜ベイタワー」(横浜市中区)で、新型コロナウイルス感染症の軽症者などの受け入れを始めたアパグループ。なぜ、アパは受け入れを決めたのか。同グループの元谷外志雄代表に聞いた。話題はコロナ禍が終息した後の宿泊需要や建設計画などにも及んだ(インタビューは20年4月24日に実施)。

インタビューに応じたアパグループの元谷外志雄(もとやとしお)代表。石川県立小松高等学校卒業後、小松信用金庫(現北陸信用金庫)に入社。同時に、慶応義塾大学経済学部通信教育部に入学。9年後に退社し、アパグループの前身となる注文住宅会社「信金開発」を創業。分譲マンションにも事業を拡大し、84年にホテル事業へ参入した。妻の芙美子氏はアパホテル社長を務める(写真:日経アーキテクチュア)
インタビューに応じたアパグループの元谷外志雄(もとやとしお)代表。石川県立小松高等学校卒業後、小松信用金庫(現北陸信用金庫)に入社。同時に、慶応義塾大学経済学部通信教育部に入学。9年後に退社し、アパグループの前身となる注文住宅会社「信金開発」を創業。分譲マンションにも事業を拡大し、84年にホテル事業へ参入した。妻の芙美子氏はアパホテル社長を務める(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

アパホテル&リゾート横浜ベイタワーで受け入れを決めた経緯を教えてください。

 政府から20年4月2日に新型コロナウイルス感染者の受け入れについて、打診がありました。国難と言えるこの状況下では、ホテルチェーンのリーディングカンパニーとして打診を断るわけにはいかないと判断し、「受け入れたい」と即答しました。

 その後、4月6日に神奈川県の担当者から横浜ベイタワーの支配人に対して、感染者の受け入れに関する具体的な打診がきました。私が決めた全体方針に従って、このホテルでの受け入れを決めました。

新型コロナウイルスの無症状者や軽症者を受け入れるアパホテル&リゾート横浜ベイタワー。2020年4月20日~8月末に受け入れる予定だ。2311室の客室を備える(写真:日経アーキテクチュア)
新型コロナウイルスの無症状者や軽症者を受け入れるアパホテル&リゾート横浜ベイタワー。2020年4月20日~8月末に受け入れる予定だ。2311室の客室を備える(写真:日経アーキテクチュア)
[画像のクリックで拡大表示]

部分貸しではなく、1棟貸しです。

 そうですね。仮にホテルの「一部」を提供し、他の部屋が空いていたとしても一般のお客さんを泊めるわけにはいきません。ですから、1棟貸しとしています。ホテルの提供に当たっては、スタッフが感染しないように条件を付けています。ホテルのスタッフは電話やメールなどの応対をしますが、感染者を受け入れる業務は担いません。

1棟貸しは有償です。宿泊業に逆風が吹き荒れるなか、感染者の受け入れによる収入は、ばかにならないのでは。

 確かにそのような側面はありますが、一方で感染者の受け入れには風評被害のリスクを伴います。例えば、新型コロナウイルスの問題が終息して一般の宿泊客の受け入れを始めたときに、感染者が宿泊していたホテルとして敬遠される恐れがある。

 実際、近隣の住民からは「受け入れないでほしい」という声がありました。それに対して当社は、近隣住民に感染する心配はないと説明しています。患者が住民と近距離で触れ合う機会はありませんから。新型コロナウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。

 クレームは次第に減っています。ホテルへの感染者受け入れが、社会的に必要であるという認識が広まってきたのではないでしょうか。