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 2016年11月に東京都新宿区の明治神宮外苑で開かれたイベント「東京デザインウィーク」でジャングルジム形の木製展示物が燃え、男児1人が死亡した事故を巡り、男児の両親らが関係各所に損害賠償を求める裁判を相次ぎ提起していることが分かった。

東京地方裁判所の外観。東京都新宿区の明治神宮外苑で開かれたイベント「東京デザインウィーク」で木製のジャングルジム形の展示物が燃え、男児1人が死亡した事故を巡って両親らが損害賠償を求めて東京地裁に提訴した(写真:日経アーキテクチュア)
東京地方裁判所の外観。東京都新宿区の明治神宮外苑で開かれたイベント「東京デザインウィーク」で木製のジャングルジム形の展示物が燃え、男児1人が死亡した事故を巡って両親らが損害賠償を求めて東京地裁に提訴した(写真:日経アーキテクチュア)
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 両親らは20年4月6日、イベント主催会社のTOKYO DESIGN WEEK(東京都港区、以下TDW)を相手取り、約1億2000万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。同年2月10日にも、展示物を設置した日本工業大学や事故当時に同大学に在籍していた学生2人、当時の指導教員を相手取り、損害賠償訴訟を東京地裁に起こしている。

 展示物は、日本工業大学の学生らを中心とする部活動団体「新建築デザイン研究会」(NADS)が出展した。内部にかんなくずを敷き詰め、白熱電球を用いた大型投光器で照らす演出をしていたところ、火災が発生。内部で遊んでいた5歳の男児が全身にやけどを負い死亡し、男児の父親など男性2人もけがを負った。この火災を巡っては、東京地方検察庁が19年8月に学生2人を在宅起訴。指導教員1人とTDWの役職員3人を不起訴処分とした。

 両親らは大学側への提訴に当たり、かんなくずの近くに投光器を放置すれば発火する危険性を学生は予見できたとして、重過失があったと指摘。教員も投光器を点灯させないように指導する注意義務を怠ったと主張した。教員を通じて学生を指導する立場にある日本工業大学にも不法行為があったと訴えている。また、TDWに対しては、主催者として入場者の安全を確保する義務を果たさなかったと主張している。

 両親は「大学やイベント主催会社から謝罪の気持ちや再発防止に対する姿勢が伝わって来ず、この訴訟を機会に当事者としての自覚を持ってほしいと考え、裁判に踏み切った」とのコメントを出した。TDWの代理人弁護士や日本工業大学はいずれも、「誠意を持って対応していく」とした。