ニコン・トリンブル(東京都大田区)は2020年5月12日、建築の施工現場向けのMR(複合現実)機「Trimble XR10」の販売を開始した。Trimble XR10は米マイクロソフト(Microsoft)のMRヘッドマウントディスプレー「HoloLens 2(ホロレンズ 2)」に、厚生労働省が定める保護帽規格と絶縁保護具規格に適合したヘルメット、さらに同社独自の骨伝導ヘッドセットを組み合わせたヘルメット型MR機だ。価格(税別)は1台、64万8000円。
Trimble XR10は、HoloLens 2が備えるヘッドトラッキング機能(4つの可視光カメラ)とハンドトラッキング機能(2つの赤外線カメラ)を搭載する。ヘルメットとHoloLens 2が「合体」したことで、工事現場でTrimble XR10を被った担当者の前に3次元(3D)のAR(拡張現実)画像を映し出せる。現実空間にAR表示するウィンドウの操作は、手や指の動きやジェスチャーで行う。
ヘルメットは厚労省が定める「物体の飛来又は落下、若しくは墜落による危険を防止するための規格検定」と「頭部感電による危険を防止または軽減するための耐電圧試験」に合格している。Trimble XR10は米国では19年末から販売が始まっていたが、ヘルメットを日本の独自規格に合わせるため、約半年遅れての市場投入になった。日本規格のヘルメットなので、工事現場だけでなく工場などでも使える。ヘルメットには環ひも(あごひも)と衝撃吸収ライナーを装着して出荷する。
HoloLens 2のディスプレーは、ヘルメットの前方部に跳ね上げられるようになっている。眼鏡をかけたままでも使うことができる。
さらに、HoloLens 2にはない、独自の骨伝導ヘッドセット(mobiWAN_TR)を用意した。騒音が大きい工事現場でも、骨伝導で音声ガイダンスなどがダイレクトに聞こえるように工夫している。