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 1995年の入居開始直後から外壁のひび割れや建物の傾斜などの不具合を訴え続けてきた福岡市内のマンションの管理組合。竣工から25年がたった2020年5月8日、販売会社のJR九州など3社は施工不良を認めて管理組合に謝罪した。

問題となった「ベルヴィ香椎六番館」(写真:日本建築検査研究所)
問題となった「ベルヴィ香椎六番館」(写真:日本建築検査研究所)
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 問題となったマンションは福岡市東区に立つ「ベルヴィ香椎六番館」。JR九州と若築建設(東京都目黒区)、福岡商事(福岡市=当時、福岡綜合開発)が販売した、鉄筋コンクリート(RC)造・7階建てのマンションだ。設計は若杉建築設計事務所で、若築建設・九鉄工業・中和建設建設工事共同企業体(JV)が施工した。

 マンションの管理組合は、1995年の入居開始直後から外壁のひび割れや玄関扉の枠の歪み、建物の傾斜といった不具合を訴え続けてきた。しかし、若築建設などはその都度、「構造耐力上主要な部分に問題はない」「設計図書通りに確実に施工している」などと説明していた。

入居開始直後から、マンションの住人は不具合を訴え続けていた。販売会社はその都度、設計図通りに施工していると主張していた(資料:日本建築検査研究所の調査報告書と取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
入居開始直後から、マンションの住人は不具合を訴え続けていた。販売会社はその都度、設計図通りに施工していると主張していた(資料:日本建築検査研究所の調査報告書と取材を基に日経アーキテクチュアが作成)
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建物の傾斜に伴い、住戸内の間仕切り壁と天井に隙間が生じていた(写真:日本建築検査研究所)
建物の傾斜に伴い、住戸内の間仕切り壁と天井に隙間が生じていた(写真:日本建築検査研究所)
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 業を煮やした管理組合は2019年に特定行政庁の福岡市に相談。しかし、市建築審査課の原田達之課長は「図書保存義務の5年が過ぎており資料がなかったため(編集部注:07年の建築士法改正で期間は15年に延長された)、施工の不備かどうかを判断できなかった。管理組合と施工者で話し合うしかないと回答した」と説明する。

 そこで管理組合は20年3月、日本建築検査研究所(東京都渋谷区)に建物調査を依頼。同社は20年3~4月に建物の歪み調査とボーリング調査を実施した。調査の結果、基礎杭が支持地盤に未到達だったことが判明。この結果を受けて若築建設も調査を実施したところ、同様の結果が出た。

 若築建設によると杭は全部で29本。日本建築検査研究所の岩山健一代表は、「今回の調査で2本の杭が支持地盤に到達していないことが明らかになった。しかし、施工状況の記録などから考えると、建物の杭のうち10本は未到達なのではないかと考えられる」とみる。

 日経アーキテクチュアが今後の対応について尋ねたところ、JR九州は「協議中のためコメントできない」と回答。若築建設は「杭の全数調査をさせてもらいたいと申し出ている。その調査結果を踏まえ、どういう補強・補修ができるかを住人と協議しながら検討する」と回答した。