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 長谷工コーポレーションは2020年6月5日、無線ICタグ(RFID)が付いたボールを使う排水管の通球試験システム「Drain Trace(ドレイントレース)」を開発したと発表した。首都圏で工事が進む同社の新築分譲マンションの設備検査において、21年3月期中に竣工を迎える物件から順次、本格運用を開始する。その後は近畿圏や中部圏にも導入し、全社展開を目指す。

排水管通球試験システム「Drain Trace」を検証しているところ(写真:長谷工コーポレーション)
排水管通球試験システム「Drain Trace」を検証しているところ(写真:長谷工コーポレーション)
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 このシステムは、新築分譲マンションが竣工する直前に実施する設備検査に用いる。排水管に不具合がないかを確認するためだ。

 これまでは担当者が、テニスボールサイズの球を使って、手作業で排水管通球試験を行っていた。これを、シール型のRFIDを張り付けた試験ボールに切り替えて実施する。各RFIDには、固有のID(識別番号)を割り当てる。

排水管通球試験システムの全体像(資料:長谷工コーポレーション)
排水管通球試験システムの全体像(資料:長谷工コーポレーション)
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 排水管通球試験とは、マンションの各住戸を貫通するキッチンや浴室、トイレからつながる排水管の水の流れを、試験ボールを使ってテストする検査だ。屋上の通気口から試験ボールを投入し、最後に屋外の排水桝(ます)で試験ボールを回収する。ボールが出てくるまでの時間を、担当者がストップウオッチで測定して異常がないかを判定する。

マンション屋上の通気口から試験ボールを投入しているところ(写真:長谷工コーポレーション)
マンション屋上の通気口から試験ボールを投入しているところ(写真:長谷工コーポレーション)
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 長谷工は18年5月から、排水管通球試験システムの実証を続けてきた。その結果、設備工事会社による検査時間を約30%削減できることを確認した。同じく、検査記録などの書類作成にかかる時間も約30%短縮できた。

 測定結果はRFIDリーダーライターを使って、試験ボールから無線で自動的に取得する。RFIDリーダーライターでデータを読み取るのは、ボールの投入時と到着時だ。両時刻のタイムスタンプが記録として残る。そのため、計測データの信頼性が向上する。

 屋上にいる担当者はボールを投入する前に、RFIDリーダーライターでRFIDを読み取る。一方、排水桝にいる別の担当者はRFIDリーダーライターを管の出口にかざすだけで、試験ボールが出てくるたびに無線で次々に計測データを取得できる。複数のボールがほぼ同時に出てきても、一斉にボールをスキャンできるという利点がある。

RFIDを張り付けた試験ボール(写真:長谷工コーポレーション)
RFIDを張り付けた試験ボール(写真:長谷工コーポレーション)
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