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 新型コロナウイルスへの対応で歳出の増加が見込まれるなか、庁舎の建て替えに取り組むべきなのか――。松江市の新庁舎建設に疑問を投げかける市民団体「松江市民のための新庁舎建設を求める会」は2020年5月28日、会の立ち上げを発表した。市に対して、同年12月ごろに予定している着工を延期し、市民への説明の場を設けるべきだと主張。建設の在り方の見直しについて是非を問う住民投票条例の制定を求めている。

建設を予定している松江市新庁舎の完成予想図(資料:松江市)
建設を予定している松江市新庁舎の完成予想図(資料:松江市)
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 同会は、市が基本計画の段階で120億円と概算していた事業費が、後に150億円に増加した点を疑問視。変更の理由や経緯について、市民への説明や議論の場などがなかったと訴える。また、建設地の決定を巡るプロセスについても説明を求めている。庁舎を移転すれば、現有地での建て替えよりも事業費や事業期間を削減できるにもかかわらず、不透明な検討プロセスを経て建て替えの決定に至ったと主張している。

 「会の設立に至った背景として、新型コロナウイルスの影響が大きかった」。発起人の1人である島根大学の片岡佳美教授はこう話し、コロナ禍で税収減や歳出増が予想されるなか、市の財政に負担をかける新庁舎の建設を優先すべきか疑問を投げかける。

 さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を踏まえて、庁舎の機能やデザインを改めて検討する必要があるとも指摘する。片岡教授は、テレワークの導入やオンラインでのやり取りが増えることを想定し、行政サービスを変えていくことが重要だとする。「今後、我々の生活や価値観は変わるだろう。それにふさわしい庁舎の在り方を、市民が熟議する場がほしい」(片岡教授)

 同会は20年7月をめどに住民投票条例制定の直接請求に向けた署名の受け付けを開始する予定だ。現在はその前段階として、市民に同会の主張を知ってもらうため、Webサイトを通じてオンライン署名を呼びかけている。