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 新型コロナウイルスが、自治体の公共事業にも影響を及ぼし始めている。静岡市は2020年5月29日、同市役所清水庁舎の移転・新築など3つの建設事業を当面、停止すると発表した。事業総額は約400億円。田辺信宏市長は「今は喫緊の課題であるコロナ対策に注力する。それぞれの事業について、コロナ禍が収束した後の新しい生活様式も視野に入れながら見直しの議論を進める」と説明した。事業の再開時期は未定だ。

静岡市役所清水庁舎の完成予想図。図の右手にあるJR清水駅とペデストリアンデッキで接続する。移転先は想定浸水深2~3mの津波浸水想定区域であるため、ピロティ形式などを採用し、津波発生時には約1万2800人が避難できる庁舎を目指していた(資料:静岡市)
静岡市役所清水庁舎の完成予想図。図の右手にあるJR清水駅とペデストリアンデッキで接続する。移転先は想定浸水深2~3mの津波浸水想定区域であるため、ピロティ形式などを採用し、津波発生時には約1万2800人が避難できる庁舎を目指していた(資料:静岡市)
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 市が停止を決めたのは、(1)市役所清水庁舎の移転・新築、(2)海洋文化施設の建設、(3)歴史文化施設の建設――の3事業。20年度予算では3事業合わせて7億3000万円を計上していた。新型コロナ対策の影響で市の財政が逼迫し、事業の見直しを余儀なくされた。

事業見直しで老朽化が進む病院の移転計画に影響も

 PFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式を採用し、23年5月の開庁を目指していた清水庁舎の整備事業については、20年6月の入札を中止した。同事業の総事業費は94億円。現在の清水駅東口公園に延べ1万3000m2の庁舎を新築し、駅とはペデストリアンデッキで接続する計画だ。同年1月に事業者を公募した際は応募がなく、庁舎と同敷地内での整備を条件とした民間施設を計画から外し、3月に再公募したばかりだった。

 静岡市アセットマネジメント推進課清水庁舎建設室は「アフターコロナの新しい生活様式に合わせてどこまで見直すことになるのか、国の動きも見ながら検討していく」と話す。基本構想や基本計画から見直すのか、仕様を変更するのか、議会で承認を得た総事業費への影響も考慮しながら検討を進める。

 清水庁舎の移転に関しては、市民団体が賛否を問う住民投票を求め、20年4月2日に2万人超の署名を選挙管理委員会に提出していた。事業は一時停止となったが、住民の求めに応じて住民投票は実施される可能性がある。

 現庁舎と第1駐車場の跡地には、老朽化が進む桜ケ丘病院が移転する予定だった。市は20年6月1日、病院を運営する地域医療機能推進機構(JCHO)に対し、新たな移転候補地として第1~3駐車場を活用する案を提示した。ただし、土地は分散しており、合計面積も当初予定より小さくなる。JCHO内での検討を待ち、新たな移転先や移転後の病床数などについて協議する方針だ。清水庁舎の移転を待たず、急を要する病院の移転計画が進みそうだ。