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 壁倍率15倍もの高強度木造耐力壁は、一般的な木造耐力壁と比較して何が違うのか。住宅メーカーのアキュラホームは2020年5月30日、そんな比較実験を報道陣に公開して実施した。

 実験場所はアキュラグループ技術研究所(埼玉県日高市)の敷地内。試験体は同社の独自仕様「トリプルストロングウォール」の1ピッチ(幅910mm)分だ。壁倍率15倍の構造耐力性能評価を取得しており、同社は20年4月末、この仕様の耐力壁を自社商品である「大空間の家」に採用したばかりだ。

 比較対象にしたのは、筋かいや構造用合板を用いた6ピッチ(幅5460mm)の耐力壁面で壁倍率16倍相当となる仕様だ。同社によると、今回の実験は「幅が6分の1でも、同等以上の性能があることを分かりやすく顧客に伝えるのが目的」だったという。

 実験方法はシンプルだ。固定した試験体の梁部分を、重機で一気に引き倒し、破壊に至るまでの最大耐力を計測するというものだ。

81kNの強度を発揮

 同社仕様は、柱脚固定金物で柱と基礎を緊結。さらに910mmの柱間へ2枚の構造用合板を落とし込んで間柱で補強し、75mmピッチの2列でくぎ留めするなど、複数の工夫を凝らしたものだ。試験体は、重機による引っ張り力が約60kN(約6トン)に達したあたりでわずかに変位し、壁全体が曲がったのが見て取れた。壁の変位が小さいため、引っ張る重機の後方がやや浮き上がった〔写真1〕。

〔写真1〕60kNの引っ張り力に耐えた
〔写真1〕60kNの引っ張り力に耐えた
「トリプルストロングウォール」の実験の模様。引っ張り力が60kNに達したあたりで重機の後方が持ち上がり始めた(写真:池谷 和浩)
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〔写真2〕ホールダウン金物が破断した
〔写真2〕ホールダウン金物が破断した
ホールダウン金物が破断して破壊に至った様子。最大耐力は81kNを記録した(写真:池谷 和浩)
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 重機の位置や輪止めを修正して再加力したところ、荷重が81kN(約8トン)に達したところでホールダウン金物が破断。一気に変形が進んで梁が曲げ破壊した〔写真2〕。

 試験体に用いたホールダウン金物の設計強度は60kN。柱脚固定金物の強度を含めて、「正常な強度が発揮された」と同社担当者は説明した。この耐力壁を建物に使う際の構造計算では30kNの地震力を負担するものとして扱っており、想定の2倍以上の耐力を発揮したことになる。

 一方、6ピッチの耐力壁面は最大耐力61kNを記録した後、構造用合板を留めているくぎの引き抜きが進み、変形が進んで構造耐力を失った。木の筋かいは面外方向へ曲げ変形し、折れていた。

 この実験について、木質構造の研究者である稲山正弘・東京大学大学院教授は、「最大耐力81kNという性能は、恐らく国内で最強。この耐力壁を使えば少ない壁量で大地震に耐えることも可能なのではないか。設計プランの自由度はより高まるだろう」とコメントした。