床の構造材にCLT (Cross Laminated Timber、直交集成板)を採用した地上8階建ての賃貸オフィスビルが、東京・千代田に完成した。三菱地所が開発を進めていた「PARK WOOD office iwamotocho」だ。日本CLT協会(東京・中央)によると、CLTを構造材とした7階建て以上の事務所建築は国内初という。地上3~8階の床に1フロア当たり55.68m2、建物全体で334.08m2のCLTパネルを使用している。
同ビルの全体構造は鉄骨造で、延べ面積は645.05m2だ。CLT床や外装の木ルーバーの設計は三菱地所設計、建物設計と施工は久保工(東京・千代田)が担当。20年3月末に竣工した。三菱地所は、19年3月に竣工した高層賃貸住宅「PARK WOOD高森」(仙台市)を皮切りに、構造材にCLTを活用したプロジェクトを進め、工事費の低減や工期短縮を目指してきた。
耐火性を担保するために、CLTパネルとコンクリートで構成する床スラブ上に石こう材料を打設し、スラブ裏の下階天井面を強化石こうボードとケイ酸カルシウム板で挟みこんだ。耐火仕様によって耐火被覆材の厚みを変更。建物の5~8階は1時間耐火仕様、1~4階は2時間耐火仕様としている。
従来のCLT床は、鉄骨の梁上に固定するのにCLTパネルに溝加工を施し、その中に鉄筋を配筋してコンクリートを充填することで一体化していた。今回、新たに開発した方法は、トップコンクリートとラグスクリューボルトのみで接合することで、接合部の仕様を簡素化。その結果、工場で所定サイズに裁断したCLTパネルを現場で鉄骨梁の上に載せるだけで済み、床工事費と作業時間を低減している。