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 国土交通省と経済産業省は2020年6月19日、「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を公表した。洪水などの発生後も機能を継続できるよう、マンションやオフィスビル、病院、庁舎などにおける電気設備の浸水対策の在り方や豊富な具体例を示したのが特徴だ。両省は19年10月の台風19号による浸水被害を踏まえて検討を重ねてきた。

国土交通省が2020年6月19日に公表した「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」。浸水対策の検討手順や具体的な方法を盛り込んだ。参考資料集では様々な用途の建築物における浸水対策事例を紹介している(資料:国土交通省、経済産業省)
国土交通省が2020年6月19日に公表した「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」。浸水対策の検討手順や具体的な方法を盛り込んだ。参考資料集では様々な用途の建築物における浸水対策事例を紹介している(資料:国土交通省、経済産業省)
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 ガイドラインの対象として想定したのは、消費電力量が大きく、高圧受変電設備などの設置が必要となる建築物。新築時と改修時のいずれにも対応した。国交省住宅局建築指導課建築物防災対策室の福井武夫企画専門官は、「マンションでは10階建て以上、オフィスビルでは5階建て以上といった規模で高圧受変電設備などを設置することが多い」と言う。

 ガイドラインではまず、対策の検討プロセスについて解説した。選定した敷地の浸水リスクを調査したうえで想定される浸水深や浸水継続時間などを決め、浸水を防止する箇所を選定するなどして機能継続の目標水準を設定する。市町村のハザードマップなどで想定している1000年に1度の降雨を前提とすると対策を講じるのが困難な場合は、過去の最大降雨や浸水実績などを基に比較的高い頻度で発生する洪水を目標水準の設定に活用する。

 具体的な浸水対策としては、設定浸水深を踏まえて浸水リスクの低い上階などに電気設備を設置することが望ましいとしている。ただし、上階に設置すれば浸水リスクを抑えられる一方で、地震リスクや建設コスト、メンテナンスコストが高まる恐れがあり、特に改修時には採用が難しい場合もある。

電気設備を屋上に設置した例。大阪府大阪市内に立つ地上8階建て、免震構造のオフィスビルで、2019年3月に竣工した。建物付近は水害ハザードマップにおいて河川氾濫の際に最大で深さ30cmの浸水が想定されている(資料:国土交通省、経済産業省)
電気設備を屋上に設置した例。大阪府大阪市内に立つ地上8階建て、免震構造のオフィスビルで、2019年3月に竣工した。建物付近は水害ハザードマップにおいて河川氾濫の際に最大で深さ30cmの浸水が想定されている(資料:国土交通省、経済産業省)
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