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 従来型のゼネコンの地位が低下する一方で、モジュール建築を手掛けるプレーヤーが成長を遂げ、建設産業における価値の源泉は「現場」から「工場」に移る──。経営コンサルティング大手の米マッキンゼー・アンド・カンパニーは2020年6月に発表したリポート「The next normal in construction(建設産業のネクストノーマル)」で、熟練作業員の不足や安全・環境規制の厳格化、技術の進化などを背景として、建設業の「工業化」が世界的に加速すると予測した。

 案件ごとにゼロから建物を設計し、ゼネコンの下で多くの下請け会社が入り乱れながら、建設現場を舞台に施工を進めるのが現在の建設プロジェクトの姿だ。これに対して工業化が進んだ建設プロジェクトでは、モジュール(規格化されたユニット)を組み合わせてカスタマイズすることで顧客の要望を満たした設計を行い、工場でモジュールを製造し、最後に建設現場に運んで組み立てる。

シンガポールで2019年に完成したモジュール建築「クレメント・キャノピー」。左と右上は建設の様子。1個当たり26~31トンのモジュールを正確に積んだ。下は完成後の外観(写真:Bouygues)
シンガポールで2019年に完成したモジュール建築「クレメント・キャノピー」。左と右上は建設の様子。1個当たり26~31トンのモジュールを正確に積んだ。下は完成後の外観(写真:Bouygues)
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 リポートでは、建設産業が今後直面する9つの変化を、「製品ベースのアプローチ」「専門特化」「バリューチェーンのコントロール」「統廃合」「ブランディング」「技術や設備への投資」「人材への投資」「国際化」「持続可能性」などと整理。モジュール化や標準化を進めて建築物を工業製品のようにつくる新興企業が台頭し、建設産業に上記のような変化をもたらすと強調している。

 既に変化の兆しはある。例えば、北米の新築プロジェクトにおけるモジュール建築のシェアは15年から18年で51%も増加しているという。日本でモジュール建築といえば、ユニットハウスやコンテナを用いた仮設の低層建築物、あるいはプレハブ住宅のイメージが強い。しかし、海外では超高層マンションや高層ホテルなどが次々に建設されているのだ。

 19年6月には高さ140m、40階建てのツインタワーマンションがシンガポールで完成した。フランスの大手建設会社Bouygues(ブイグ)傘下のDragages Singapore(ドラガージ・シンガポール)が施工した「The Clement Canopy(クレメント・キャノピー)」だ。鉄筋コンクリート造のモジュール建築としては世界一の高さを誇る。