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 都市部に立つ超高層ビルの外壁点検にドローンを活用する動きがある。西武建設(埼玉県所沢市)が開発を進める「ラインガイド式ドローン制御システム」だ。建物の外壁に沿って縦方向に「糸」を張り、ドローンの飛行をガイドすることで安全性を高める。同社は2020年6月からモニター5社による市場テストを開始した。11月の実用化を目指す。

建築研究所と日本ツーバイフォー建築協会、西武建設の3者が、2020年3月17日に実施した「中野サンプラザ」での公開実験の様子(写真:日経クロステック)
建築研究所と日本ツーバイフォー建築協会、西武建設の3者が、2020年3月17日に実施した「中野サンプラザ」での公開実験の様子(写真:日経クロステック)
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 市場テストに先立ち、3月17日には「中野サンプラザ」(東京・中野)で公開実験を実施した。建築研究所と日本ツーバイフォー建築協会、西武建設の3者による共同研究の一環だ。3者によると、都市部の超高層ビルでの「ドローン点検」は国内初の試みとなる。

 建築分野でのドローン点検は土木分野のインフラ点検などと異なり、「人口集中地区」での実施が前提となる。

 改正航空法では、同地区上空でのドローン飛行を禁止しており、国土交通省の許可を得た場合に飛行可能としている。人口密度の高い都市部での安全性の確保が、普及に向けた最大のハードルだ。林立する建物が障害となってGPS(全地球測位システム)などの電波障害が起こりやすく、ドローンが墜落した際の被害リスクも高いなど、課題が多かった。

 今回の実証実験の目的は主に、安全性と調査精度の安定性を確認すること。通常ならドローンが飛ばせないような最も難易度の高い場所をあえて選んだという。

 建築研究所の宮内博之主任研究員は、「足場レスのドローン点検で外壁の健全性が確認できれば、大規模修繕までの『時間稼ぎ』になる。足場を組むタイミングが数年でも引き延ばせれば、修繕費の削減が図れる。建物の長寿命化にもつながっていく」と期待を込める。

 中野サンプラザは、鉄骨鉄筋コンクリート造の地下3階・地上22階建てで、高さは90m超。JR中野駅前に立ち、道路を挟んで区庁舎などがある。

中野サンプラザ。公開実験では、写真左側の外壁面の膨れなどをドローンで点検した(写真:日経クロステック)
中野サンプラザ。公開実験では、写真左側の外壁面の膨れなどをドローンで点検した(写真:日経クロステック)
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