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 新型コロナウイルスによる事業環境悪化に伴って、早くも都市部でオフィス賃料の下落が始まった。不動産サービス会社のCBREは2020年7月27日、同年第2四半期(4月〜6月)のオフィス賃料や空室率を発表した。東京23区のオフィスエリア内における20年第2四半期の想定成約賃料は、12年第2四半期以来、8年ぶりに下がった。

 今期の賃料は2万3470円/坪となり、前期と比べて0.2%低下した。CBREによれば、まとまった空室を抱える一部の既存ビルで賃料を引き下げるケースが既にみられたという。オフィスエリアは、丸の内・大手町や神田・飯田橋、八重洲・日本橋、六本木・赤坂、虎ノ門・汐留、新宿、渋谷・恵比寿、品川・田町、大崎を対象としている。

 千代田区や中央区、港区、新宿区、渋谷区に立つグレードが最も高いグループのオフィスビルに絞ると、想定成約賃料は3万8850円/坪で、前期比0.4%の低下となった。CBREは、経済の先行きへの懸念から賃料に下押し圧力がかかっており、グレードの高いビルの賃料が今後1年で1.7%下落すると予測した。

 梅田や中之島など大阪市のオフィスエリアや名駅や栄など名古屋市のオフィスエリアでも、グレードの高いビルで賃料が低下した。大阪市のグレードが最も高いグループの今期の賃料は2万6400円/坪で前期比0.4%低下、名古屋市は同2万8150円/坪で前期比0.2%低下となった。

 CBREは大阪市のオフィスマーケットについて、一部のビルで賃料にやや天井感が出ていたところに、コロナ禍が原因で移転の保留や延期、キャンセルなどが重なったと分析する。ただ、20〜21年のオフィス新規供給はいずれも1万坪に満たない水準で、オフィスの需給バランスが今後大きく崩れず、賃料はほぼ横ばいで推移すると予測している。

グレードが最も高いビルの想定成約賃料の推移と予測。2020年の第1四半期(前期)から第2四半期(今期)にかけて、賃料の上昇が止まった(資料:CBRE)
グレードが最も高いビルの想定成約賃料の推移と予測。2020年の第1四半期(前期)から第2四半期(今期)にかけて、賃料の上昇が止まった(資料:CBRE)
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 東京23区では、空室率も悪化傾向だ。今期の空室率は0.8%となり、前期と比べて0.2ポイント上昇した。特にグレードの低いビルにおける空室率の上昇幅が比較的大きかった。

 グレードの低いビルでは、入居していたテナントがグレードの高いビルへ移転しても、新たなテナントが入りにくくなっていることから空室が生じている。コロナ禍の影響で内覧の延期や契約の保留、キャンセルが発生しており、空室を消化するペースが鈍化している。

 一方で、グレードの高いビルでは、空室率が低下した。空室率が下がったにもかかわらず賃料が下がった一因は、今期の空室率には反映されていないもののコロナ禍で解約を通知したテナントが発生したことを受けて、ビルオーナーが賃料を下げたためだ。オフィスの解約は6カ月前に通知するのが一般的なので、コロナ禍を原因としたオフィス解約が空室率に反映されるのは次期以降になる。