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 三菱地所は2020年7月27日、木材活用に取り組む7社の出資によって新総合木材会社「MEC Industry(メック インダストリー)」を設立したと発表した。新会社が建築用木材の生産から流通、施工、販売までを一貫して担うことで中間コストを省き、建物の木質化を実現する新建材やプレハブ工法による戸建て住宅などを低価格で供給する。

 鹿児島県湧水町に工場を建設予定で、その完成までは同県霧島市に事務所を置く。設立から10年で売上高100億円を目指す。

MEC Industryの森下喜隆社長(左から4番目)と株主7社の代表者(写真:日経クロステック)
MEC Industryの森下喜隆社長(左から4番目)と株主7社の代表者(写真:日経クロステック)
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 新会社には三菱地所をはじめ、総合建設会社の竹中工務店や大豊建設、松尾建設(佐賀市)、建築資材などを扱う総合商社の南国殖産(鹿児島市)、建築用金属製品の製造・販売を手掛けるケンテック(東京・千代田)、集成材メーカーの山佐木材(鹿児島県肝付町)の計7社が出資した。資本金19億2500万円のうち7割を三菱地所が負担し、残り3割を6社が出資した。

 7社の技術や販売チャネルを活用することで商品開発と製造が連動する効率的な製造システムを構築し、中間コストの削減を図る。従来は木の調達や製材、加工などの各製造段階を小規模な事業体が個別に担っており、都度、中間コストが生じていた。

MEC Industry(左)と既存事業(右)のビジネスフロー(資料:MEC Industry)
MEC Industry(左)と既存事業(右)のビジネスフロー(資料:MEC Industry)
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 三菱地所からMEC Industryの社長に就いた森下喜隆氏は7月27日の会見で、「まずは三菱地所がデベロッパーの立場から積極的に木材を活用していくことが、新会社のエンジンになるはずだ。将来的には中高層建築や大規模建築物での木材利用を実現していく」と抱負を語った。

MEC Industryの森下社長は2020年7月27日の会見で「建築の既存の枠組みをイノベーションする会社を目指す」と語った(写真:日経クロステック)
MEC Industryの森下社長は2020年7月27日の会見で「建築の既存の枠組みをイノベーションする会社を目指す」と語った(写真:日経クロステック)
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プレハブ化で100m2の平屋を1000万円未満で販売可能に

 MEC Industryでは主に、「新建材事業」と「木(もく)プレファブリック事業」に取り組む。

 新建材事業では、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物を木質化しやすくする新建材の開発・供給を行う。鹿児島県や宮崎県、熊本県などから調達する国産材によるCLT(直交集成板)やツーバイフォー材などを使用する。

 同事業の初弾として、21年4月には三菱地所とケンテックが大豊建設の協力を得て共同開発した「配筋付型枠(仮称)」を発売予定だ。同建材は、製材木板に鉄筋を取り付けたコンクリート打設用の型枠で、木板をそのまま天井仕上げ材として利用できるため、施工手間の軽減やデザイン性の向上が見込める。

製材木板に鉄筋を配した新建材「配筋付型枠(仮称)」(写真:MEC Industry)
製材木板に鉄筋を配した新建材「配筋付型枠(仮称)」(写真:MEC Industry)
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配筋付型枠を施工したイメージ。通常は廃材となる型枠材をそのまま仕上げ材として利用できる(資料:MEC Industry)
配筋付型枠を施工したイメージ。通常は廃材となる型枠材をそのまま仕上げ材として利用できる(資料:MEC Industry)
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 木プレファブリック事業では、工場生産したCLTや集成材などの部材を現場で組み立てる規格型の低価格商品を開発・供給する。MEC Industryによると、100m2の平屋建ての住宅を1000万円未満で販売できるという。

 同社の伊藤康敬副社長は、「従来の木造と比べて現場での施工の簡素化が図れる。工期の短縮や職人不足の解決にもつながるはずだ」と説明する。

「木プレファブリック事業」の製造過程イメージ。工場生産の規格型とし、現場の負担を軽減しながら低価格化を図る(資料:MEC Industry)
「木プレファブリック事業」の製造過程イメージ。工場生産の規格型とし、現場の負担を軽減しながら低価格化を図る(資料:MEC Industry)
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 戸建て住宅だけでなくコンビニや工場、倉庫などへの展開も視野に入れている。

 MEC Industryは20年8月7日、自社生産拠点となる木材加工施設(鹿児島県湧水町)の建設工事に着手する。21年4月から順次稼働させる予定だ。