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 国土交通省は2020年9月8日、中央建築士審査会の同意を得て、一級建築士3人の免許を取り消す懲戒処分を下したと発表した。3人は、18年4月から施工不備のアパートが相次いで発覚したレオパレス21の社員、あるいは元社員だ。一連の問題で懲戒処分が下されたのは、19年12月に続き2度目となる。国交省は特定行政庁からの報告をベースに現在も調査を継続しており、例年のペースでいけば20年12月の中央建築士審査会で次の処分者を検討する見通し。

レオパレス21の本社(写真:日経アーキテクチュア)
レオパレス21の本社(写真:日経アーキテクチュア)
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 国交省は、3人の免許取り消し処分の理由について、問題のアパートで各戸の界壁が小屋裏ないし天井裏に達する設計がされているにもかかわらず、界壁が設計図書通りに設置されていなかったことを挙げる。これらは長屋または共同住宅における界壁設置義務を定めた建築基準法30条、または建基法施行令114条に違反しており、3人は工事監理者として違反工事が行われる事態を生じさせたとしている。

3人とも関東エリア

 資料によると、3人の免許取り消し処分者の概要は、(1)エムディアイ一級建築士事務所(東京都知事登録、現レオパレス21一級建築士事務所)に所属、茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県内で確認された違反建築物のアパート23物件へ関与。(2)レオパレス21一級建築士事務所大宮支店(埼玉県知事登録)およびレオパレス21一級建築士事務所(群馬県知事登録)に所属、埼玉県、長野県内で確認された違反建築物のアパート18物件に関与。(3)レオパレス21一級建築士事務所東京支店(東京都知事登録)に所属、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県内で確認された違反建築物のアパート16物件に関与――となっている。

 各物件数は懲戒基準に照らし合わせた数で、各処分者がこれまで関与した物件数とは異なる。法違反の建築行為が行われた時期などは非公表だ。

 レオパレス21による一連の施工不備問題を巡り、国交省は19年12月に最初の処分者3人を公表していた。この際の処分者はいずれも建築士事務所における管理建築士だったが、今回の3人の処分理由に「管理建築士」の文字はない。

 国交省は今回、3人がどのような立場にあったかについて、管理建築士だったかも含め、不利益処分者の保護を理由に非公表とした。「仮に管理建築士だったとしても、その義務違反を問うまでもなく処分基準に達したため」と、国交省住宅局建築指導課は説明する。

 今後、処分者は不服申し立てができるが、同建築指導課は「いくつかの物件で関与や法違反について反論を受けたとしても、懲戒処分規定を確実に満たす物件数を確認している」としている。