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 世界各地でコロナ禍が続く状況を受けて、2020年のプリツカー建築賞は授賞式が開催されなかった。代わりに、同賞を主催するハイアット財団は20年10月7日(米EST東部時間では同6日午前10時)、Webサイトで受賞者などのコメントを収録した動画を公開した。同賞は建築界におけるノーベル賞ともいわれるもので、約42年の歴史を持つ。“リアル”の授賞式を開かずに動画配信としたのは初めてのことだ。

 動画の見どころは、受賞者のコメントだ。20年の受賞者は、アイルランドの2人の女性建築家Yvonne Farrell(イボンヌ・ファレル)氏とShelly McNamara(シェリー・マクナマラ)氏。ファレル氏は1951年生まれ、マクナマラ氏は52年生まれで、ダブリンにあるユニバーシティ・カレッジ・ダブリン(UCD)で共に建築を学んだ。

日本時間2020年10月7日、プリツカー建築賞の公式サイトで受賞コメントなどの動画が公開された。撮影は20年8月に世界各地で行われたという(資料:The Hyatt Foundation/The Pritzker Architecture Prize)

 動画の中で、2人がプリツカー賞のメダルを首にかけて、静謐(せいひつ)な図書館を歩くシーンがある。その場所はアイルランドのトリニティ・カレッジ・ダブリンにある図書館内の「ロングルーム」で、1592年に建設された。アーチ天井と、ずらりと並ぶ巨大な書架が印象的だ。

 先に語り出したのは、ファレル氏。若手建築家へのメッセージをこう述べた。

 「今トリニティのロングルームに立っていることもあり、未来に向けた手紙を伝えたいと思う。建築家には様々なタイプがいて、あなた自身が最高の建築家になるかもしれない。世界には美しく驚嘆するような場所がある。自分の周りを見渡して、ありふれた場所がいかに素晴らしいかを見てほしい。建築家となるための教育を受けることは光栄なことだ。あなたの才能や時間は、豊かな社会をつくるために投じなさい。人々は、彼らのニーズや夢を現実に置き換えてくれる存在としてあなたを頼るだろう。最善を尽くしなさい」