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 2019年10月の台風19号(東日本台風)で川崎市市民ミュージアムの地下収蔵庫が浸水し、収蔵品の約9割が被害を受けた問題で、市民団体「かわさき市民オンブズマン」は、横浜地方裁判所に住民訴訟を起こした。市に対し、市長や指定管理者などに計20億円の損害賠償を請求するよう求めている。提訴は20年9月2日付。収蔵品の総額約42億円の半分相当額を損害額とした。

川崎市市民ミュージアムの地下駐車場。左が浸水時、右が排水後の様子。地下1階の収蔵庫が浸水し、収蔵品約26万点のうち約22万9000点が被害を受けた(写真:川崎市)
川崎市市民ミュージアムの地下駐車場。左が浸水時、右が排水後の様子。地下1階の収蔵庫が浸水し、収蔵品約26万点のうち約22万9000点が被害を受けた(写真:川崎市)
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 川崎市市民ミュージアムは、川崎市中原区の等々力緑地に立ち、建築家の故菊竹清訓氏が設計を手掛けた。建物は地下1階・地上3階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造で、延べ面積は約1万9500m²。博物館と美術館の複合文化施設として1988年に開館した。

 訴状によると、市は2017年4月に指定管理者制度を導入。市民ミュージアムの運営を、アクティオ・東急コミュニティー共同事業体に委託した。その後、市は18年3月に洪水ハザードマップを改訂。多摩川が氾濫した場合の市民ミュージアム敷地における想定浸水深を5〜10mに引き上げた。19年10月の東日本台風では、内水氾濫によって市民ミュージアムの地下1階に推定1万6000m³の水が流入し、収蔵品が水没した。

 原告のオンブズマンは、収蔵品管理の前提条件として、ハザードマップ確認は市と指定管理者の共通認識だったと指摘。ハザードマップ改訂後も地下収蔵を続けたこと、東日本台風の襲来時に地上階へ収蔵品を移動するなどの必要な措置を講じなかったこと、さらに土のうを15個しか準備せず浸水被害を発生させたことを問題視した。

 その上で、指定管理者には浸水を防ぐ措置を怠った重大な過失があると指摘。市職員は指定管理者に適切な指示を出すことを怠った、市長は市職員を指揮監督することを怠ったと主張している。