全1342文字
PR

 長谷工コーポレーションは2020年10月14日、超高層マンション建設の生産性向上のため、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)と連動した「超高層PCa(プレキャストコンクリート)梁分割システム」を、約1年かけて独自開発したと発表した。今後、首都圏と近畿圏、名古屋圏で設計に着手するPCa案件の全てに活用していく予定だ。

 同社は超高層マンションの施工で、工期の短縮や品質の安定を目的に「PCa工法」を採用している。PCa工法とは、建物の基本部材を工場であらかじめ製造し、それらを作業所に持ち込んで現場で躯体(くたい)を組み立てる工業化工法の一種だ。

工場で分割して製作した梁を、現場のクレーンで吊り上げて施工している様子(写真:長谷工コーポレーション)
工場で分割して製作した梁を、現場のクレーンで吊り上げて施工している様子(写真:長谷工コーポレーション)
[画像のクリックで拡大表示]

 工場でつくる柱や梁などのPCa部材は、作業所までトレーラーで運ぶ際の積載可能な容量や重さ、クレーンの吊り上げ可能重量、柱や梁の接合方法、設備や電気の貫通部などを考慮したものでなければならない。そのため、「PCa分割位置」の検討が重要になる。

 長くて重いPCaの梁をどこで分割すれば、運搬や接合がしやすいかということである。従来はそのための「PCa製作図」をつくるのに、多くの時間と労力が必要だった。規模にもよるが、1~2カ月程度の期間がかかることがあった。

 今回開発した超高層PCa梁分割システムを使えば、梁寸法やコンクリート強度、継ぎ手の長さといった施工条件を入力するだけで、梁分割のシミュレーションができる。専門知識や長い現場経験は必要ない。誰でも従来の検討時間に比べて、半分ほどの時間でPCa分割位置を決められる。製作図の作図そのものの時間は変わらないが、検討時間が半分になるだけでも大きな期間短縮につながる。

PCa梁を分割した例。色分けして示している(資料:長谷工コーポレーション)
PCa梁を分割した例。色分けして示している(資料:長谷工コーポレーション)
[画像のクリックで拡大表示]

 このシステムを建物のBIMと連動させて、PCa工場と情報共有する。生産性の向上だけでなく、PCa製作図を省略するなどのペーパーレスにより、これまでの業務プロセスを変える。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、超高層マンション建設の高い生産性と品質の両立を目指す。

 長谷工は、超高層マンションの建設に力を入れる経営方針を打ち出している。これまでに首都圏と近畿圏で設計・施工した超高層マンションは31軒ある(20年5月末時点、施工中を含む)。同社の注力事業であり、超高層マンション建設の業務効率化とさらなる品質向上は不可避だった。