「中大規模木造の構造面が不安」「建設予定地の周辺エリアにどんなプレカット工場があるか分からない」。こうした不安を抱く設計者への支援サービスが登場した。SE構法などを提供するエヌ・シー・エヌ(東京・港)子会社の木構造デザイン(東京・港)が新たに展開する、マッチングプラットフォーム事業だ。保育施設や養護老人施設など中大規模木造を計画する設計者とプレカット工場とをつなぐ。
木構造デザインは2020年2月設立。非住宅木造を専門に設計事務所や建設会社からの構造相談や構造設計実務を請け負ってきた。プレカット工場に対しては構造設計と連動したプレカットCADデータを提供する。
今回のマッチングプラットフォーム事業では新たに、全国のプレカット工場をネットワーク化。木構造デザインの運営でポータルサイトも立ち上げた。ネットワークに参画する各工場が対応可能な工法やエリア・サイズ・樹種のほか、品質管理体制や中大規模木造の実績といった情報をまとめて設計者向けに発信する。
設計者は木構造デザインを窓口に、土地勘のない地域の計画でもプレカット工場選びがよりスムーズになる。
構造設計では木構造デザインから、SE構法のほか在来軸組み工法やツーバイフォー工法、集成材構造、CLT(直交集成板)工法など、建築物の用途や規模に応じた構造支援を受けることが可能だ。これまで、中大規模木造の構造計算に対応できる構造設計者不足やプレカットデータの作成者不足などが課題の1つだった。
木構造デザインの福田浩史代表は、「プレカット工場を巻き込んだチーム体制を構築することで、中大規模建築物でも木造が当たり前の選択肢になり得る。設計者が思い描く計画やデザインが実現しやすくなるはずだ」と話す。
ポータルサイト「大規模木造プレカットネットワーク」は、設計者をはじめ誰でも無料で閲覧できる。