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「こんにちは、ロボットが走行しています、こんにちは」。平日の昼下がり、新宿駅に直結する地下街「新宿サブナード」で、ロボットが声を発しながら軽快に進む。自律走行ロボットによる消毒液散布の様子だ。日建設計シビル(大阪市)とロボット開発のZMP(東京・文京)が2020年11月19日に実証実験を実施した。
このロボットは、ZMPが開発した無人警備・消毒ロボ「PATORO(パトロ)」。この日は時速4km程度と、人が歩くのと同じくらいのスピードで走行した。カメラやセンサーを搭載しており、進行方向に人を検知すると冒頭のような声を掛けて、通行人に注意を促す。消毒スポットでは、ドアの取っ手に向かって消毒液を散布した。
「地下街の利用者とロボットが共存できることを確認した」。日建設計シビルエンジニアリング部門CM・防災部長の大森高樹氏は、満足げに語る。同氏は新宿サブナードで、防災や減災のコンサルティングを担当している。コロナ禍も「災害」と捉え、安全・安心な地下空間を確立するための対策を提案している。その1つが、ロボット活用だった。
地下街は通常、空調で感染防止の対策を実施している。加えて、人が触るドアの取っ手などは、感染リスクを低減するために定期的に消毒している。ただ、人手が掛かるため、こうした作業をロボットに置き換えたいと考えた。「パトロなら昼間は警備をし、夜は消毒作業をするなど、1台2役以上の役割を果たせる」(大森氏)