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 2020年3月の改正建築士法施行後、初めて実施された20年度の1級建築士試験。国土交通省が同年12月25日に発表した「設計製図の試験」の合格者の年齢構成は、改正法の施行前と比べて様変わりした。合格者数3796人のうち26歳以下が35.2%を占め、19年度から12ポイント増に。改正法の狙い通り、若い世代の合格者数が増えた。

2020年度と19年度の1級建築士試験「設計製図の試験」合格者の年齢分布の比較(資料:国土交通省の資料に日経クロステックが加筆)
2020年度と19年度の1級建築士試験「設計製図の試験」合格者の年齢分布の比較(資料:国土交通省の資料に日経クロステックが加筆)
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 20年3月1日に施行された改正建築士法は、受験者数を増やし、若い人材を安定的に確保することが狙いだ。それまで1級建築士試験の受験に必要だった実務経験を「免許登録要件」としたため、大学や短期大学、高等専門学校などを卒業してすぐに受験できるようになった。このため、19年度まではいなかった23歳以下の合格者が220人超となり、全体の6%を占める結果となった。

 さらには、20歳で合格した人が数人いた。高等専門学校や2年制の短期大学、専修学校などで、1級建築士試験の受験に必要な指定科目を20歳までに履修して受験すれば、20歳もしくは21歳で製図試験の合格発表の日を迎えられる。

上の表は直近5年間の1級建築士試験「設計製図の試験」の受験者数と合格者数。下は、2020年度製図試験合格者のうち、新制度で受験可能となった人の割合(資料:国土交通省)
上の表は直近5年間の1級建築士試験「設計製図の試験」の受験者数と合格者数。下は、2020年度製図試験合格者のうち、新制度で受験可能となった人の割合(資料:国土交通省)
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2020年度の1級建築士試験「設計製図の試験」合格者の年齢分布。新制度で受験可能となった合格者の年齢を見ると、20代が多い(資料:国土交通省)
2020年度の1級建築士試験「設計製図の試験」合格者の年齢分布。新制度で受験可能となった合格者の年齢を見ると、20代が多い(資料:国土交通省)
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 受験者数全体の増加もみられる。20年度の学科試験の実受験者数は3万409人。直近5年間の実受験者数は約2万5000人で推移していたことから、改正法の施行で5000人ほど増えた計算になる。製図試験の合格者3796人のうち、新制度下で新たに受験可能となったのは全体の17.7%に当たる672人だった。合格者は20代が多いが、20歳から57歳まで幅広い年齢に分布している。改正法で対象実務の範囲が広がったことが影響しているとみられる。

 国土交通省住宅局建築指導課の田伏翔一課長補佐は、「明らかに若い人が多く受験し、かつ、きちんと合格している。また、若い層に限らず、今まで受けられなかった人が受験できるようになって合格している。建築士法改正で一定の効果があった」と話す。

 一方で、「新型コロナウイルス感染症の影響で、受験を見送った人も一定数いるのではないか」と田伏課長補佐はみる。受験申込期間中に政府が緊急事態宣言を発令したことなどが影響したとの見立てだ。

 また、20年10月11日に実施した製図試験では、欠席率が例年より高かった。旧制度では3年だった学科試験合格の有効期間が、新制度では5年に延長され、製図試験を受験するタイミングを選びやすくなった(製図試験の受験回数は従来と同じく最大3回)。「製図試験の勉強に時間をかけようと考えたのか、感染リスクを考慮して欠席したのかは分からない」(田伏課長補佐)とする。今後数年の動向に着目し、建築士法改正の影響を分析していくという。

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