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 前田建設工業が施工した日本航空学園能登空港キャンパス(石川県輪島市)の校舎や寮の壁の中から石こうボードの端材などが大量に見つかった問題が泥沼化している。学校を運営する日本航空学園(山梨県甲斐市)は2021年1月19日、廃棄物の撤去費など約50億円の損害賠償を求めて前田建設工業を反訴した。この問題を巡っては20年10月、前田建設工業が日本航空学園を相手取り、金沢地方裁判所に債務不存在確認訴訟を提起していた。

校舎や寮の壁の中から石こうボードの端材や使用済みの軍手などが見つかった日本航空学園能登空港キャンパス(写真:日経クロステック)
校舎や寮の壁の中から石こうボードの端材や使用済みの軍手などが見つかった日本航空学園能登空港キャンパス(写真:日経クロステック)
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寮内にある教員用の部屋の壁の中から見つかった石こうボードの端材(写真:日経クロステック)
寮内にある教員用の部屋の壁の中から見つかった石こうボードの端材(写真:日経クロステック)
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 日経クロステックが入手した反訴状によると、学園側は、石こうボードなどの撤去と壁の修復に約11億8100万円、工事中に授業に使用する仮校舎の建設に約5億7100万円を要すると主張。さらに、寮の工事中にかかる生徒・教員の宿泊費約4億4700万円や通学用バスのチャーター代約1億3500万円、遅延損害金約23億1800万円などを合わせて計約50億円の支払いを求めている。

日本航空学園が前田建設工業に請求した約50億円の内訳(資料:反訴状を基に日経クロステックが作成)
日本航空学園が前田建設工業に請求した約50億円の内訳(資料:反訴状を基に日経クロステックが作成)
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 日本航空学園能登空港キャンパスの梅沢慶臣学園長は、「前田建設工業側は『廃棄物の撤去作業は行うが、校舎に残置した石こうボードなどの撤去費約4395万円以外については支払い義務がない』と主張している。しかし、撤去作業中は校舎で勉強できず、寮で生活することもできない。作業によって生じる損害も前田建設工業が支払うべきだ」と憤る。

 前田建設工業は日経クロステックの取材に対して21年1月20日、「訴状が届いていないので詳細についてはコメントできない。学園と協議して円満に解決を図りたい」と回答した。