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 滋賀県近江八幡市は2021年1月27日、新庁舎の工事請負契約解除を巡る紛争で、奥村組に和解金4億600万円を支払う補正予算案を市議会臨時会に提出。市議会は賛成多数で可決した。21年2月8日に開催予定の滋賀県建設工事紛争審査会第4回審理で和解する見通しだ。

耐震改修工事中の近江八幡市庁舎。2018年に新庁舎の建設工事を中止したため、使用期間が延び、耐震改修を実施することになった(写真:近江八幡市)
耐震改修工事中の近江八幡市庁舎。2018年に新庁舎の建設工事を中止したため、使用期間が延び、耐震改修を実施することになった(写真:近江八幡市)
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 奥村組は18年1月、新庁舎の工事を現庁舎の解体などを含めて81億2000万円(税抜き)で落札。同年1月末に着工し、20年1月の開庁を目指して工事を進めていた。しかし、現市長の小西理氏が18年4月の市長選で、新庁舎の建設中止を公約の1つに掲げて当選。就任日の18年4月25日に、奥村組に対して工事請負契約の解除を伝えた。

 これを受けて奥村組は18年10月、同社の過去3年間の決算における売上総利益率の平均値を基に、81億2000万円の11.1%相当の約9億円が逸失利益に当たるとの考え方を示したうえで、損害賠償に関する協議を市に申し入れた。

 一方、市は工事中止による奥村組の逸失利益について「極めて小さく、工事請負時の契約額の5%を超えない」と主張した。両者は計10回もの面談を重ねたものの折り合わず、20年3月に協議を終了。20年5月、市が奥村組の同意を得て、県の建設工事紛争審査会へ仲裁を申請した。

 審査会は両者の主張などを確認したうえで、20年12月4日の第3回審理の際、市が奥村組に対して4億600万円を支払う和解案を提示。奥村組はその場で受け入れる意向を示した。「早期解決を図るために受け入れを決めた」(奥村組社長室広報課)

 一方の市は、審査会から和解案の提示を受けて弁護士などに相談。和解案を受け入れずに審理を継続しても賠償額が下がる可能性は低いと判断し、受け入れを決断した。これを受けて、21年1月27日の市議会臨時会に補正予算案を提出した経緯がある。

 建設工事紛争審査会は、建設工事の請負契約を巡るトラブルの解決を図る準司法機関だ。審査会の「仲裁」で紛争を解決した場合、裁判所の確定判決と同様の効力を持ち、内容については裁判で争えなくなる。2年を超える市と奥村組の紛争は、ようやく幕を閉じることになる。

 市はこれまでに奥村組に対して、着工から契約解除までの出来高約2億399万円と、現場復旧工事などの実費約4670万円を支払い済み。和解金4億600万円を合わせると、総額約6億5600万円を支払うことになる。小西市長は21年1月21日の会見で「(市長選中に掲げていた)目標だった10億円以下に収められた」としている。