神戸市内の高層マンション「アパタワーズ神戸三宮」の外壁タイル剥落を巡り、同マンションの管理組合が発注者と設計・監理者、施工者の3社に対して計約2億4000万円の損害賠償を求めた訴訟が、大阪地方裁判所で和解した。発注者であるアパホーム(金沢市)と施工者の大木建設(東京都江東区)が、計約1億1540万円を管理組合に支払う。合意内容をまとめた調停調書は2021年1月13日付。
地上20階建て、249戸のアパタワーズ神戸三宮は05年10月に竣工した分譲マンションだ。発注者はアパホーム。設計・監理はイズムアソシエイツ(兵庫県姫路市、19年に破産)が担当した。元請けはアパ建設(金沢市、09年に解散)。大木建設が協力会社として外壁などの工事を担当した。
訴状によると、マンションでは15年3月30日、14階の一室で西側バルコニー下部の外壁タイルが幅約1.5mにわたって剥落し、真下に位置する4階のベランダに破片が散乱しているのが見つかった。負傷者はいなかった。
大木建設は15年4月2日、屋上からゴンドラをつり下げ、剥落箇所とその周辺の浮きが生じた外壁タイルを補修した。その際、他の階のバルコニーについても外壁タイルを確認したところ、5・7・8階で同様に浮きがみられた。管理組合はアパホームに対し、外壁タイルの全面調査と応急対策を求めたが、アパホームは経年劣化であることを理由に応じなかった。
そこで管理組合が、別の建設会社に調査を依頼。ゴンドラによる簡易調査の結果、南側外壁の約12%、西側外壁の約6%で浮きが見つかった。調査結果を受けて管理組合が補修工事を実施したところ、最終的にタイルの浮きは南側で約36%、西側で約21%、全体で約15%に及んでいたことが分かった。
管理組合は1級建築士の藤田雅巳氏に原因調査を依頼。藤田氏は、タイルの施工時に目荒らしなどをしていないこと、竣工後10年程度で劣化が3~5%の範囲に収まれば経年劣化と言えるが、アパタワーズ神戸三宮では浮きや剥離は10%以上で見られることなどから施工不良が原因と結論づけた。
管理組合はアパホームや大木建設などに補修工事費などの支払いを要求。しかし、アパホームなどは経年劣化だと主張して応じなかった。管理組合は17年12月7日、アパホームなど3社を相手取り、大阪地裁に提訴。18年3月6日に原告を変更して改めて提訴した。