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 建築確認申請の本格的なオンライン化に向け、指定確認検査機関の日本ERI(東京・港)は2021年2月10日、建築業界で初めて建築確認業務における消防同意手続きを電子化し、ペーパーレスで実施したと発表した。

 電子化した消防同意の第1号プロジェクトは、竹中工務店が設計・施工を手掛ける「竹中工務店岡山営業所建替計画」。日本ERIは今回、消防担当者向けのWebシステムを立ち上げ、このシステム経由で所管の消防署へ消防同意依頼を行った。

竹中工務店が設計・施工を手掛ける「竹中工務店岡山営業所建替計画」の外観イメージ。竹中工務店は建築主でもある(資料:竹中工務店)
竹中工務店が設計・施工を手掛ける「竹中工務店岡山営業所建替計画」の外観イメージ。竹中工務店は建築主でもある(資料:竹中工務店)
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日本ERIが今回実施した建築確認申請のフロー。消防同意を含めて建築確認申請を電子化した(資料:日本ERI)
日本ERIが今回実施した建築確認申請のフロー。消防同意を含めて建築確認申請を電子化した(資料:日本ERI)
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 消防同意は建築基準法93条に基づく手続きで、建築主事または指定確認検査機関は計画中の建築物の施工地を所管する消防署長などの同意がなければ確認を下ろすことができない。特殊建築物などの場合、消防署側は依頼を受けてから7日以内に同意または不同意を返答する必要がある。

 日本ERIによると、非住宅で確認申請の電子化が進まない要因の1つに、この消防同意が紙のやり取りとなっていたことがあるという。今回は所管する消防署側の同意を得て、オンライン上での手続きを実施した。「今後、より多くの消防署にシステム利用を呼びかけたい。セキュリティーの高い仕組みの構築により、オンライン化を推進していく」と、同社の関戸有里BIM推進センター長は語る。

消防庁が電子化促進を通知

 総務省消防庁は2017年に「消防同意等の電子化に向けたシステム導入対応マニュアル」を公表しており、消防同意の電子化は制度上は可能だった。だが消防署側の対応はまだ進んでいなかった。

 建築確認の電子化が進む中、消防庁は2021年2月9日、各地の消防長などに対し、手続きの電子化について「積極的な対応を検討すること」と通知した。運用上の留意事項を今後まとめ、改めて通知するとしている。消防同意のオンライン化がようやく本格化しそうだ。

 国土交通省は1月1日付で建築確認手続きの押印を廃止。それに伴って、2月1日付で電子申請に関する技術的助言を発出している。建築確認をオンライン申請する場合、従来は押印に代わる措置として電子署名(タイムスタンプ)が必要だったが、電子署名以外でも本人確認を可能とする内容だ。今後、構造計算適合性判定(構造適判)や建築物エネルギー消費性能適合性判定(省エネ適判)など、関連手続きのオンライン化が進めば、建築士の仕事は大きく変貌しそうだ。