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 国土交通省は2021年2月26日、「リスクコミュニケーションを取るための液状化ハザードマップ作成の手引き」(以下、手引き)を、同省のウェブサイト上で公開した。

 住民・事業者と行政が宅地の液状化についてリスクコミュニケーションを図る際のツールに液状化ハザードマップを位置づけ、その作成・活用方法を示したのが特徴だ。「地域の液状化発生傾向図」や「宅地の液状化危険度マップ」、これらを踏まえた「液状化ハザードマップ」の作成方法を解説。発信や周知の在り方、活用方法についても盛り込んだ。

 東日本大震災では約2万7000カ所の宅地で液状化による被害が発生した。被害の軽減には、自治体が主導する事前対策に加え、住民などによる対策や水・食料の備蓄なども重要になる。そこで、東京電機大学の安田進名誉教授を委員長とする検討委員会が18年度から、両者の協働を促すうえで必要となる情報の整理やツール・手法の検討を進めてきた。 手引きはその成果を踏まえたものだ。

 液状化ハザードマップは、既に多くの自治体が作成済み。 国交省の「重ねるハザードマップ」では、液状化の発生傾向図や危険度分布図も公開している。しかし、既存のマップには、液状化の危険度が高い理由やどのような被害が生じるか、どう備えればいいかといった被害の防止・軽減に役立つ実用的な情報が示されていない。

 東京電機大学の安田名誉教授は 「自治体が作成した既存のハザードマップは、精度や作成条件が統一されていない。土木分野で用いる液状化指標値(PL値) などで危険度を表現する場合が多いので、宅地の危険度を示すのに必ずしも適さないといった問題もある」と話す。ほとんどのエリアを危険度が高いと表記し、リスクが伝わりにくくなっているケースも少なくない。

 手引きでは「リスクコミュニケーションツールとしての活用を見据えた液状化ハザードマップの更新・作成を行うことが望ましい」などとし、自治体が必要に応じてハザードマップをつくり変えるよう促した。

 手引きで解説した項目のうち、既存のハザードマップと異なるのが「宅地の液状化危険度マップ」の作成方法だ。ボーリング調査の結果などを基に地盤の非液状化層厚や液状化指標値、地表変位量(Dcy値)を求め、判定図と判定表に当てはめて液状化被害の可能性を5区分3段階で判定。250mメッシュで地図上に表示する。

宅地の液状化危険度マップの作成例。「顕著な液状化被害の可能性が高い」と判定された場所をピンク色で示す(資料:国土交通省)
宅地の液状化危険度マップの作成例。「顕著な液状化被害の可能性が高い」と判定された場所をピンク色で示す(資料:国土交通省)
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