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 鹿島は2021年3月9日、副社長執行役員の天野裕正氏が同年6月25日付で代表取締役社長に昇格すると発表した。天野副社長は、都心の大型再開発を抱える東京建築支店を取り仕切ってきた人物だ。東京五輪関連の需要が落ち着き、コロナ禍で難しいかじ取りが求められるタイミングでの登板に、「大型物件だけでなく、中規模以下の工事も積極的に受注したい」(天野副社長)と意気込みを語った。

鹿島の押味至一代表取締役社長(左)と、次期社長の天野裕正副社長執行役員(右)(写真:日経アーキテクチュア)
鹿島の押味至一代表取締役社長(左)と、次期社長の天野裕正副社長執行役員(右)(写真:日経アーキテクチュア)
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 次期社長に就任する天野副社長は1951年生まれ。77年に早稲田大学大学院(建設工学)を修了し、同年に鹿島に入社。横浜支店に配属された。2009年には執行役員に就任。建築管理本部副本部長や中部支店長などを経て、14年に専務執行役員、東京建築支店長に就き、17年に副社長執行役員に就任した。一貫して建築畑を歩み、現場に明るい人物として知られる。

 天野氏が東京建築支店長になってからは、「東京ミッドタウン日比谷」(18年)、「日本橋二丁目地区第一種市街地再開発事業(C・D街区)」(18年)、「日本橋室町三丁目地区第一種市街地再開発事業A地区」(19年)、「Otemachi One(大手町ワン)」(20年)、「東京ポートシティ竹芝」(20年)など、都心の大型再開発が相次いで完成している。

 天野副社長の昇格に伴って代表取締役会長に就任する押味至一社長は21年3月9日の会見で、「鹿島は建築が主体の会社。中核となる建築事業の稼ぎ頭である東京建築支店長として実績を積んだ天野氏に、徹底的に足元を固めてもらいたい」などと、天野副社長を次期社長に推した理由について説明した。

 天野副社長は就任に向けて、「専ら建築に携わってきたが、鹿島には建築関連だけでも開発事業、設計、維持管理、リニューアルなど多様な部門がある。建築を核としてこれらを結びつけ、社会の新しいニーズに応えながら経営基盤を安定させ、収益を上げていきたい」と抱負を述べた。

 建築市場を取り巻く状況について天野副社長は、「受注は確かに減っているが、東京五輪開催に向けて高まった需要が端境期を迎え、一呼吸置く時期だとみている」と話す。とはいえ、東京建築支店では22~23年ごろに着工する超大型再開発の受注を見込んでいるとも明かした。

 「より規模が小さい案件は、各年度に入ってからでないと見通しが立たないが、経営の立場からすると、大型案件だけでなく、中小規模の案件もあってこそうまく回転していくもの。中規模以下の工事も積極的に受注できるようにしたい」(天野副社長)