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 大阪府岸和田市の市議会は2021年3月4日、市が計画している新庁舎の工事請負契約に関する議案を否決した。新庁舎の設計・施工者の選定を巡っては、公募型プロポーザルの審査を担う委員の大半が選定プロセスに異議を唱えて20年12月に辞任するなど、異例の事態に陥った経緯がある。老朽化や耐震性能の不足を理由に現庁舎の建て替えを推進してきた岸和田市に、暗雲が垂れ込めている。

岸和田市が老朽化などを理由に建て替えを検討している現庁舎の外観(写真:岸和田市)
岸和田市が老朽化などを理由に建て替えを検討している現庁舎の外観(写真:岸和田市)
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 市は21年2月24日、梓設計・隈研吾建築都市設計事務所・大成建設・矢野建設共同企業体(JV)と120億4698万円(税込み)の工事請負契約を結ぶ議案を市議会に提出した。市議会の庁舎建設特別委員会は同年3月3日、反対多数でこの議案を否決。翌4日の本会議でも賛成3、反対20の反対多数で否決した。

 議会が問題視したのは、設計・施工者の選定プロセスだ。市が設計・施工を一括発注するデザインビルド方式を採用し、公募型プロポーザルを公告したのは20年6月。社名を伏せて20年9月に実施した1次審査を3者が通過した。ところが同年12月、市は3者のうち2者がプロポーザルの実施要領の規定に抵触したとして失格の決定を下した。

 市の説明によると、3者のうち2者の構成企業が秘書課を訪れ、堤勇二副市長が在席しているか確認。不在と分かると市職員に名刺を預けて帰ったという。堤副市長は選定委員会の委員を務めており、2者の行為が委員との接触を禁じた規定に抵触すると判断した。

 審査を担う選定委員会の外部委員5人のうち委員長を含む4人は、委員会に相談せずに失格を決定したプロセスに問題があるとして、2次審査を前に一斉に辞任。市は、幹部職員2人を選定委員会に加えて20年12月27日に1者のみの2次審査を実施し、梓・隈・大成・矢野JVを特定した。

 岸和田市の永野耕平市長は20年12月28日の会見で、失格の決定プロセスや2次審査に問題はなかったと主張。一方、辞任した4人は21年1月5日、「公共建築の制度設計上、大きな禍根を残す」などと表明していた。

 20年12月の会見では、2者を失格とすることで同JVの受注を後押ししたのではないかと疑う声も上がった。永野市長は日経アーキテクチュアの取材に対し、「疑われるようなことはしていない」と断言する。

岸和田市の公募型プロポーザルを巡るトラブルの経緯(資料:岸和田市の資料などを基に日経アーキテクチュアが作成)
岸和田市の公募型プロポーザルを巡るトラブルの経緯(資料:岸和田市の資料などを基に日経アーキテクチュアが作成)
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