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L形アングルで外周部を固定

 パラペットがない場合、断熱防水層の外周部の押さえに「L形アングル」を用いるのが一般的だ。これも弱点になりやすい。この賃貸マンションでは、外周部以外のコンクリートスラブの高さを断熱材の厚み分として最大60mmほど下げ、外周部はL形アングルで押さえてアンカーで固定していたのではないかと栃木代表はみる。

賃貸マンションの断熱防水層の納まりを推定した。外周部のコンクリートに、L形アングルとアンカーで固定していたと考えられる(資料:栃木 渡)
賃貸マンションの断熱防水層の納まりを推定した。外周部のコンクリートに、L形アングルとアンカーで固定していたと考えられる(資料:栃木 渡)
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 北海道をはじめとする積雪寒冷地域では、屋根の外周部に雪庇(せっぴ)がへばりつき、アンカーに引き抜き力が作用する。L形アングルは幅が狭く1列のアンカーで留めるので、雪庇の重みで徐々に緩んで固定強度が低下し、隙間から雨水が浸入して経年劣化が早まることがある。内山技術主幹は、「笠木をかぶせて2列のアンカーで押さえる方が固定強度を高くできるので積雪寒冷地域では望ましいが、パラペットがないと採用できない」と話す。

 パラペットのない断熱防水層では、断熱材ごとアンカーで躯体に固定する施工方法もある。もし、この工法を採用していた場合は、さらに固定強度が低下しかねない。アンカーが断熱材の厚み分だけ長くなり、固定が不安定になるからだ。

断熱防水層ごとアンカーで躯体に固定した場合。L形アングルに雪庇がへばりつくと、アンカーが雪庇に引っ張られて固定強度が低下する恐れがある(資料:内山 理)
断熱防水層ごとアンカーで躯体に固定した場合。L形アングルに雪庇がへばりつくと、アンカーが雪庇に引っ張られて固定強度が低下する恐れがある(資料:内山 理)
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 防水材メーカーは、パラペットの設置を屋根露出防水絶縁断熱工法の施工条件とはしていないが、推奨はしている。日新工業(東京・足立)の営業統括部技術開発課でチームリーダーを務める横堀龍司氏は、「アスファルト防水では基本的にパラペットを設け、仕上げ面から200mm以上立ち上げることが必要だ」と訴える。

 内山技術主幹と横堀チームリーダーはパラペットを設けられない場合の対策として、外周部を中心に、ディスクと呼ぶ円形の金属板とアンカーで補強する方法を勧める。