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 国土交通省と経済産業省、環境省の3省は2021年4月19日、住宅・建築物の省エネルギー化や脱炭素化に向けて規制や誘導策などを議論する「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」(座長:田辺新一・早稲田大学創造理工学部建築学科教授)の初会合を開いた。新築住宅に対する太陽光発電パネル設置義務化について、委員の賛否が割れる出だしとなった。

検討会の冒頭で挨拶した国土交通省の和田信貴・住宅局長(写真:日経クロステック)
検討会の冒頭で挨拶した国土交通省の和田信貴・住宅局長(写真:日経クロステック)
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 検討会は20年10月に菅義偉首相が表明した「2050年カーボンニュートラル(炭素中立)宣言」を受けてのもの。国内におけるエネルギー消費の約3割を業務・家庭部門が占めており、カーボンニュートラルを実現するためには、住宅・建築物における省エネや創エネルギーが課題となっている。

 そのため、検討会では50年に向けてハード・ソフト両面の政策を議論し、その議論を基に3省がカーボンニュートラルを実現するためのロードマップを作成する。

 主な論点は3つある。1つ目は、目指すべき住宅・建築物の姿を明らかにすること。これまでの省エネ対策では、中・長期的に達成すべき住宅・建築物の具体的な性能が設定されていなかった。この点について、内閣府が設置した「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」は、21年2月に発表した提言で、これまでの国交省などの政策に対して「50年の(住宅・建築物の)明確な姿が描かれていない」と批判していた。

 検討会では、明確な目標と具体的な姿を示したうえで、そこから逆算して規制や誘導策を検討する「バックキャスティング」の考え方を採用する。

 2つ目は、既存ストックに対する省エネ改修の進め方。国交省によれば、約5000万戸ある住宅ストックのうち、省エネ基準に適合している割合は18年時点で約11%にとどまり、無断熱の住宅は約30%に上る。新築だけでなく、ストックの省エネ対策も喫緊の課題となっている。

 3つ目は、規制の在り方だ。具体的には、省エネ基準適合義務化を300m2未満の新築住宅・建築物にまで広げるか否か。さらに進んで、新築住宅における太陽光発電パネルの設置を義務化するかどうかも議論する。

(資料:国土交通省)
(資料:国土交通省)
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 国交省はかつて、建築物省エネ法の改正に向けた検討の中で、全ての新築住宅・建築物に対する適合義務化を見送った経緯がある。今回の議論でも、どのような規制をいつ導入するかについて、賛否が割れることになりそうだ。