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納品制限を打ち出す製材会社なども

 供給不足の状態で買い占めが発生すると、需給の逼迫がさらに深刻化する。それを防ごうと、大手の製材会社とプレカット会社を中心に「納品制限」に踏み切る動きが広がっている。

 銘建工業は21年3月に開始した製造計画比30%の減産に合わせて、顧客への納品量も一律で3割減らした。この方針を21年5月も続ける。さらに同社の柳部長は「5月以降も回復の兆しがなく、予断を許さない状況だ」と危機感をあらわにする。同社では、これまで欧州産のレッドウッドやホワイトウッドなどを原材料としていた柱用の集成材を、国産のヒノキやスギで生産する準備も進めているが、納品先は既存顧客が優先になる。

 中国木材はベイマツ乾燥材と国産集成材の増産に努める一方で、納品量は20年の納品実績に応じて制限する措置を当面続ける。「あの手この手で原材料を調達しているが、厳しさが増している。在庫量を積み増しできない状況なので、納品制限をせざるを得ない」と中国木材営業推進課の野田康宏課長は悩ましげに話す。

 プレカット大手のポラテック(埼玉県越谷市)は21年3月末から、住宅会社からの受注と納品量の制限を始め、4月はそれぞれ前年の月平均の80%に抑えた。5月と6月はこの制限をさらに強化し、70%にする計画だ。「入荷状況によってはより厳しくすることも視野に入れている」と、ポラテックプレカット事業部営業本部の園部雅子部長は明かす。

 千葉市美浜区にプレカット工場を持つ三ツワ(静岡県長泉町)では、住宅会社から依頼されたプレカットの見積もり対応を、慎重に進める。木材不足に焦る住宅会社が、複数のプレカット会社に見積もり依頼を重複して出しており、こうした実態に基づかない仮需要が市場の混乱に拍車をかけている面があるからだ。同社営業部の中西憲政課長は、「重複依頼の恐れがあると判断した場合は、見積もりをお断りせざるを得ない」と話す。

梁の樹種変更を決断する企業

 こうしたなかで、住宅会社がウッドショック対応として進めているのは、調達可能な樹種に仕様変更することだ。

 分譲住宅会社のケイアイスター不動産は20年夏ごろから、輸入材の間柱や筋交い、受け材、羽柄(はがら)材を、国産材のスギを使った製材とLVL(単板積層材)へと、徐々に仕様変更している。ウッドショックが深刻化する以前から、分譲住宅の一部で使用しているSPF2×4材の価格が高くなり始めたので、影響の拡大を予測して早めに動き出した。土台と柱はもともと国産材だ。

 梁に採用している欧州材は、仕様変更すると構造計算のやり直しなどが必要になり、設計にも影響する恐れがあるので、元の仕様のまま調達ルートを増やした。同社は21年4月30日に「21年12月末までの住宅販売計画分については、使用する木材の確保を完了した」と発表している。

 注文住宅を手掛けるネクストイノベーション(東京・新宿)は、21年4月に上棟する分から、柱と梁の樹種をレッドウッド集成材から別の木材に仕様変更した。柱はスギやカラマツの集成材、梁はLVLに統一する。

 同社が構造材の仕様を変更したのは、柱用のレッドウッド集成材が21年3月末の上棟までに届かないことが判明したのがきっかけだ。契約済みの建て主には、3月中旬に事情を伝えて仕様変更の承諾を得た。ネクストイノベーションの川名真治取締役は、「3月半ばからプレカット会社と自社の各部門とで、着工と納材のスケジュールについて密に情報共有してきた。梁用の集成材はまだ入手できる状況だったが、入手が厳しくなることを見通し決断した」と話す。

 一方で、構造材用の輸入材を従来通り確保しているのが住友林業だ。同社は柱や梁などの主要構造部に欧州材の集成材を使用してきた。ウッドショック下でも欧州の仕入れ先から安定的に供給を受けている。「仕入れ先とは長年の取引で信頼関係を築いてきたので、今後も優先的に供給を受けられる見込みだ」と同社住宅・建築事業本部資材開発部の岸本護副部長は話す。ただし、一部の羽柄材については、価格上昇が今後も続いた場合、国産材への仕様変更の可能性があるという。

 住宅価格について岸本副部長は「木材価格の上昇を直ちに転嫁することはない。市場の動向を見極めたうえで慎重に対応する」と話す。