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 2021年4月に東京都八王子市内で発生したアパートの屋外階段崩落事故が波紋を広げている。アパートの施工者である則武地所(相模原市)が過去に手掛けた物件の調査を進めていた国土交通省は21年6月1日、6件の建物で屋外階段が崩落する恐れがあると発表した。

屋外階段が崩落した八王子市内に立つアパートの外観。ブルーシートで覆われているのが、階段が崩落した箇所だ(写真:池谷和浩)
屋外階段が崩落した八王子市内に立つアパートの外観。ブルーシートで覆われているのが、階段が崩落した箇所だ(写真:池谷和浩)
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則武地所が過去に施工を手掛けた2階建て以上の共同住宅の調査結果(資料:国土交通省)
則武地所が過去に施工を手掛けた2階建て以上の共同住宅の調査結果(資料:国土交通省)
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 調査対象は東京都と神奈川県に立つ2階建て以上の共同住宅241件。このうち213件に設置されている屋外階段は、事故が発生したアパートと同様に鋼製の階段部分を木製の梁(はり)などで支持しているとみられる。

 劣化などが見つかり、階段が崩落する危険性があると判断した物件は八王子市内の5件と、神奈川県厚木市内の1件。この6件については、建築研究所などの専門家による現地調査の結果を踏まえて、所有者が階段を支える支保工(仮設の柱)の設置などを進めている。残りの207件では、直ちに改善が必要な劣化などは確認されなかった。

 国交省は報告があった共同住宅について、(1)建築士などによる詳細調査、(2)屋外階段の改修計画の提出および改修の実施、(3)改修完了までの間、当該屋外階段の定期的な点検および特定行政庁への報告――の3点を所有者に求めるよう、特定行政庁に要請した。

 国交省建築指導課の大島英司企画専門官は「外観からしか現況を確認できなかった物件も、『直ちに階段が崩落するなどの危険がない物件』に含めている。引き続き詳細な調査が必要だ。費用面の問題もあるだろうが、安全確保のために所有者には調査や改修などに協力してほしい」と話す。

 施工者の則武地所は21年5月19日に破産手続きを開始している。赤羽一嘉国交相は21年6月1日の記者会見で、「本来であれば則武地所が所有者への説明や補修などへの対応を行うべきだが、そうしたことを行わないまま自己破産したことは遺憾だ」と同社の対応を批判した。