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 設計ミスが原因でがん治療施設の稼働が遅れて逸失利益が生じた――。山形大学は施設の設計を担当した日本設計を相手取り、瑕疵(かし)担保責任に基づき約8億1850万円の損害賠償を求める裁判を山形地方裁判所に起こした。提訴は2021年5月13日付。訴状によると、日本設計が設計した設備が治療装置を正常に動かすための条件を満たしていなかった。

山形大学医学部東日本重粒子センターの外観。設備設計のミスが原因で改修工事が必要になり、稼働開始が遅れた(写真:山形大学)
山形大学医学部東日本重粒子センターの外観。設備設計のミスが原因で改修工事が必要になり、稼働開始が遅れた(写真:山形大学)
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 問題となった施設は、山形大学医学部東日本重粒子センター(山形市)。地下1階・地上4階建ての鉄筋コンクリート造で延べ面積は約7400m2。最先端がん治療である重粒子線治療を受けられる東北・北海道エリア唯一の施設として建設された。建物と当該設備の設計は日本設計(東京・新宿)、施工は竹中工務店が担った。

 山形大学は施設の建設に向けて、東芝に次世代型重粒子線がん治療装置一式(以下、治療装置)の製造を依頼。治療装置を正常に運用するためには、東芝が指定した電力や空調の条件などを満たすための設備が必要になるため、同大学は日本設計との契約のなかで「東芝と連携・協力して業務を遂行すること」を定めていた。

 建物は19年5月に完成。その後、東芝のグループ会社でエネルギー事業を手掛ける東芝エネルギーシステムズ(川崎市)が治療装置の試運転を始めた。

 施設の稼働開始に向けて順調に準備が進んでいると思われた。ところが19年11月、熱交換器の冷却水の温度が試運転中に異常に上昇して治療装置が停止する事態が発生。訴状によると、日本設計が設計した装置冷却水設備が、東芝が指定した冷却能力を満たしていないことが発覚したという。