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 日本建築士会連合会(以下、士会連合会)は飲食店やオフィスなどの新型コロナウイルス感染症対策として、各建築士会の会員が換気状況や二酸化炭素濃度(CO2濃度)などを確認し、改善策を助言する換気アドバイス業務を始めた。士会連合会と東京建築士会は2021年5月25日、会員の建築士が建築会館(東京・港)に入居している3つの飲食店に助言する様子を報道陣に公開した。

建築会館に入居する飲食店への助言の様子。カイト建築設計工房(東京・練馬)の伊東利孝代表と楓設計室(東京都八王子市)の加藤陽介代表が、換気設備の確認や測定などに携わった。両者ともすでに数件、換気アドバイスを実施した経験がある(写真:日経クロステック)
建築会館に入居する飲食店への助言の様子。カイト建築設計工房(東京・練馬)の伊東利孝代表と楓設計室(東京都八王子市)の加藤陽介代表が、換気設備の確認や測定などに携わった。両者ともすでに数件、換気アドバイスを実施した経験がある(写真:日経クロステック)
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 換気アドバイス業務で対象とする空間は、飲食店や保育所、学校、事務所など。「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(建築物衛生法)に基づき空気環境の測定などを義務付けている「特定建築物」や、住宅は対象外だ。自然換気設備や居室の24時間換気設備についても対象外としている。

 業務の流れは次の通り。まず、建築士が現地に赴き、レーザー距離計や風速計などを使用して、対象空間の面積や気積、窓の状況、機械換気設備の換気量などを計測する。

換気設備の風速を測定している様子。換気扇などの表面の5カ所程度で測定し、平均値を用いる(写真:日経クロステック)
換気設備の風速を測定している様子。換気扇などの表面の5カ所程度で測定し、平均値を用いる(写真:日経クロステック)
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 次に、空間のCO2濃度を基に空気の汚染度を確認する。CO2濃度を数度、数カ所で計測し、おおむね1000ppmを上回った場合に改善が必要だと判定。設計や工事を伴わない改善策をその場で提案する。目安の1000ppmという値は、中央管理方式の空調設備を設置する場合と同等レベルに設定した。換気経路の計画や現地の状況によって室内に生じる空気のよどみについても測定する。

 助言に当たっては、床面積や天井高、在室人数、人の活動状況、調査時の換気量などを入力するだけで空間のCO2濃度を予測できる簡易シミュレーターも使用する。在室人数や活動状況の変化に伴う濃度の変動を把握できるので、店舗などの運用に役立つ具体的なアドバイスが可能だ。