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木材に強い独立系商社の阪和興業で木材流通の司令塔を務める佐原栄次理事は、「ウッドショックによる輸入材不足は一旦緩和するが、秋には再び不足する」と予想する。米国の住宅需要、北欧の夏季休暇、地球温暖化、世界的な人口増――。輸入材に影響を与える国際的な事象を整理しつつ、短期的・長期的な見通しを聞いた。(聞き手:荒川 尚美)

阪和興業の木材第一部、第二部の佐原栄次理事。1991 年、同社に入社。2001~04 年にカナダのバンクーバー事務所に駐在。帰国後、欧州、ロシアなどからの木材輸入事業や住宅会社向けの総合サービス事業などに携わる(写真:日経クロステック)
阪和興業の木材第一部、第二部の佐原栄次理事。1991 年、同社に入社。2001~04 年にカナダのバンクーバー事務所に駐在。帰国後、欧州、ロシアなどからの木材輸入事業や住宅会社向けの総合サービス事業などに携わる(写真:日経クロステック)
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国内の木材需要をどのように見ていますか。

 当社は主に年間1000棟以上を手掛けるクラスの住宅会社と直接契約して、全ての資材をワンストップで供給する取引をしています。取引先の住宅会社はどこも受注が非常に好調で、2021年は今のところ毎月のように前年同月比で10~20%増を達成しています。

 一方で、輸入材の到着は遅れており、入荷量は今のところ20年度の3割減のペースといった状況です。木材不足の影響を受けやすいのは調達能力の低い零細な住宅会社なので、ウッドショックによって競争力のある大手のシェアがますます広がる可能性があります。

ウッドショックによる輸入材の品不足は、いつまで続くとお考えですか。

 様々な意見がありますが、21年10~12月期の輸入材の出荷分が日本に到着する22年1月前後にならないと、供給不足は収まらないとみています。

 大幅に遅れていたコンテナの一部が21年6月にようやく到着して、国内に輸入材が供給され始めました。これによって、一旦は輸入材不足が緩和されるでしょう。しかし、秋には再び不足すると思われます。既に欧州のサプライヤーが、「7~9月期の出荷量は4~6月期と比べて3割前後減る」と連絡してきました。

 7~9月期の出荷量が減る短期的な理由は、「北欧が夏季休暇に入る」「世界的な需要増で集荷しにくい」の2点です。長期的な理由では、「害虫の影響で原材料が減っている」ことが挙げられます。

害虫の影響について、具体的に教えてください。

 欧州では「スプルースビートル」というキクイムシの一種によって、ホワイトウッドを中心に被害が拡大しています。そのため、供給できる原材料が減っているのです。

 カナダでも近年、マツクイムシによる深刻な森林被害が発生しています。年間1000万m3分の木材製品供給量が減り、この4~5年で40社以上の製材会社が倒産・廃業しました。そのため、米国にとって最大の木材供給基地だったカナダからの出荷量が激減しています。米国が欧州などから木材を大量に購入しているのには、このことも関係しています。

 カナダでマツクイムシが増えたのは、地球温暖化の影響だと専門家は指摘しています。カナダは冬にマイナス30度になる日が1カ月以上続くため、もともとはマツクイムシが越冬できない地域でした。しかし、冬の気温が上がり、1年中マツクイムシが繁殖できるようになってきたのです。