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ウッドショックで国産材への引き合いが増えている。スギを使った集成材を生産している国産材製材最大手、協和木材(東京・江東)の佐川広興代表取締役社長は、「ホワイトウッド集成材からシェアを奪いたい」と意気込む。さらに、生産者が国産材の増産に向き合うために、「ウッドショック後も国産材を使い続けてほしい」と訴える。(聞き手:荒川 尚美)

協和木材の佐川広興代表取締役社長。国産材製材協会会長も務める(写真:日経クロステック)
協和木材の佐川広興代表取締役社長。国産材製材協会会長も務める(写真:日経クロステック)
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ウッドショックで国産材の木材価格が上昇しています。協和木材でも値上げを実施しましたか。

 2021年6月時点の出荷製品価格は20年12月と比べ1.5倍程度になっています。スギの柱向けの、長さ3m材の原木価格はこの間に5~6割値上がりして採算が厳しくなり、同業他社も値上げに踏み切っています。

 原木価格の上昇に伴い、当社は21年6月上旬に、出荷価格を前年同月比で2割値上げしました。これは、コロナ禍で下がっていた価格を希望小売価格に近い水準に戻す措置でした。この後、7月の出荷価格を6月からさらに2割値上げすると取引先に連絡したところです。8月の出荷価格は、原木価格の状況からすると上げざるを得ないでしょう。梅雨の時期で、出材量が少ないこともあります。

輸入材不足で国産材の需要が増していますが、需要に応えられますか。

 取引先から「納材量を増やしてくれ」という依頼が殺到して、需要は20年度の1.5倍以上に膨らんでいます。最初は国産材に関心が向いてきたと喜んでいましたが、とても対応できる量ではないと認識を改め、既存の取引先に少なくとも前年度並みで納入することを最優先しています。

 13年から本格的な生産を開始したスギの2×4(ツーバイフォー)材については、長年営業に行っていたものの、採用してもらえなかったところから引き合いがきています。ようやく訪れたチャンスなので、可能な範囲で供給しています。

 現在フル稼働で生産に励んでいますが、対応できるのはせいぜい前年度比1割増程度でしょう。これ以上増産するには、人員増に加え、生産ラインの増設、木材乾燥機と木質ボイラーの購入・増設といった設備投資が必要です。それでも、すぐに生産量を増やせるわけではありません。

 現在のように旺盛な需要が長期的に続く見通しが立てば、本格的な増産に取り組みますが、まだそんなふうには考えられません。当社の新庄工場(山形県新庄市)では21年4月から、増設ラインでの生産を始めました。この増設工事は、需要家からの注文予約を取り付けたうえで進めてきたものです。国産材の生産量を増やすために最も重要なのは、ウッドショック後も国産材を使い続けてもらうことです。そうしないと生産者は向き合えません。

ウッドショックの取材を通して、ムク材の利用がここ数年で大きく減っていることに気づきました。国産材でも集成材のシェアが増えていますか。

 当社は12年からスギを使った集成材の柱を生産し始め、現在の生産量はムク材の柱の2倍に達しました。ウッドショックでホワイトウッドの集成材が手に入らなくなった取引先からも、集成材の柱の注文は増えています。スギ集成材の生産量を増やした分のシェアは、ホワイトウッド集成材から奪えると思います。

 スギの集成材で梁(はり)を生産する技術も持っていますが、梁材の需要はウッドショック前も、現在もありません。当社のスギ集成材のヤング係数(E)がE65で、レッドウッドの集成材やベイマツの乾燥材よりも低いからです。

 しかし、構造計算をすれば、2階建て戸建て住宅の2階の床梁の大半はE65で賄えることが分かります。森林総合研究所の研究でも、そのことが明らかになっています。全ての部位を輸入材でそろえるのではなく、輸入材と国産材を必要な強度に応じて部位別に使い分けることを検討してほしいと思います。