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 清水建設は2021年7月7日、中期デジタル戦略2020「Shimz デジタルゼネコン」を構成する3つの柱の実現に向け、コンセプトを策定したと発表した。3本柱とは「ものづくりをデジタルで」「デジタルな空間・サービスを提供」「ものづくりを支えるデジタル」である。

 同社は19~23年度の5年間の中期経営計画で、デジタル投資と関連技術開発に500億円を投じることを計画している。今回、その具体的な使い道や方向性、そして将来のあるべき姿が明らかになった。

「中期デジタル戦略2020」における3つの柱(資料:清水建設)
「中期デジタル戦略2020」における3つの柱(資料:清水建設)
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 中期デジタル戦略2020で清水建設は「リアルなものづくりの知恵と先端デジタル技術により、ものづくりをデジタルで行い、リアルな空間とデジタルな空間・サービスを提供する建設会社」を、デジタルゼネコンと定義している。目指すゼネコン像と言い換えられる。

 3つの柱の実現に向けたデジタル化のコンセプトは、デジタルゼネコンになるための、清水建設の基幹事業と業務の在り方を示している。具体的な実現手段は、清水建設が18年末以降に発表してきた幾つものデジタル施策である。今回それらを3つの柱のコンセプトに従い、改めて整理したと考えると分かりやすい。順に説明する。

 1つめの「ものづくりをデジタルで」のコンセプトは、建築事業と土木事業の今後の在り方を示したものだ。両者に共通するのは、「プロジェクトの上流から下流まで一貫したデータ連携体制を構築し、デジタルなものづくりを目指す」(今木繁行副社長)ことだ。

清水建設の今木繁行副社長(写真:日経クロステック)
清水建設の今木繁行副社長(写真:日経クロステック)
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建築事業のデジタル化コンセプト(資料:清水建設)
建築事業のデジタル化コンセプト(資料:清水建設)
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土木事業のデジタル化コンセプト(資料:清水建設)
土木事業のデジタル化コンセプト(資料:清水建設)
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 上流工程では例えば、建築設計の企画段階でのコンピュテーショナルデザイン「Shimz DDE(デジタルデザイン・エンハンスメント・プラットフォーム)」の活用、土木ではCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)データで構築する仮想空間を利用した施工計画の検討(サイバー・コンストラクション)などを指す。

 施工の工程では建築と土木ともに、データを活用した施工管理、ロボット活用や自動化、デジタルファブリケーションが挙げられる。建築では設計・施工を貫く「Shimz One BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」が全体の基盤になる。下流工程では、建築や土木の成果物である建物やインフラの機能と性能情報のデジタル化を加速する。

 エンジニアリング事業の在り方を示す、2つめの「デジタルな空間・サービスを提供」のコンセプトは、都市や建物のデジタルツイン活用によるサービスの提供を目指すものだ。これにより、顧客の資産価値向上や運営管理の効率化、利用者の利便性や安全・安心の向上に貢献する。

 清水建設は開発中の大規模オフィスビル「メブクス豊洲」(東京・江東)や、本社ビルの改修工事で、都市や建物のデジタルツイン構築に必要な基盤とデータプラットフォームや、建物のオペレーティングシステム(建物OS「DX-Core」)の実装を始めている。今後は適用案件を拡大していく。同じ地域にある複数の建物に導入したDX-Coreをネット上で一元管理する「DX-Coreクラウド」の普及も促進する。

BIMや建物OSの活用例を説明する今木副社長(写真:日経クロステック)
BIMや建物OSの活用例を説明する今木副社長(写真:日経クロステック)
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