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 木材が品不足になり価格が高騰するウッドショックへの対策として、輸入材に依存してきた木造住宅の各部材を国産材に変更しようと考えた実務者は少なくないだろう。

 これまで、梁(はり)ではそれが容易ではないとされてきたため、採用に二の足を踏むケースは多かった。しかし、梁の架け方を一工夫すれば国産材でも必要な強度を確保できることが認知されてきたため、採用する住宅会社が徐々に増えている。実際に構造計算をした事例を基に、国産材を梁に用いるうえでのポイントを探った。

福登建設の清水栄一代表が、全ての梁をスギのJAS(日本農林規格)材で設計した住宅の構造パース。赤色の梁がスギ集成材、それ以外は製材(資料:福登建設)
福登建設の清水栄一代表が、全ての梁をスギのJAS(日本農林規格)材で設計した住宅の構造パース。赤色の梁がスギ集成材、それ以外は製材(資料:福登建設)
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 「実際に構造計算をするまでは半信半疑だったが、全ての梁を国産のスギに置き換えられると分かって驚いている」

 2021年6月、受注したばかりの木造2階建て住宅(延べ面積145m2)の梁にスギのJAS(日本農林規格)材を採用し、許容応力度計算(以下、構造計算)を実施したのは木構造に詳しい住宅会社として知られる福登建設(福井市)。同社の清水栄一代表は、積雪量が1m以上の多雪地域に建てる住宅であるにもかかわらず、国産材の梁が予想以上に「使えた」ことに驚きを隠さない。

 社内で全住宅の構造計算をしている福登建設はこれまで、梁にベイマツのJAS材を使っていた。構造計算に必要な部材強度が表示されているうえ、強度自体が高いからだ。たわみ性能を示す曲げヤング係数はE110以上。「強度的に過剰だと以前から分かっていたが、ウッドショック前は国産材よりも価格が安かったので、梁は全てベイマツにしていた」と清水代表は話す。

 一方、冒頭の2階建て住宅の梁に採用したのは全てスギのJAS材。スギ集成材の曲げヤング係数はE65、製材はE70だ。3.6mスパンの箇所に架けた7本は中西木材(福井県越前市)が福井県産の間伐材で製造している梁せい240~360mmの集成材、そのほかは梁せい90~210mmの製材。中西木材のスギ集成材は特注品で、2~3週間の納期で入手できるという。

全ての梁をスギのJAS材で設計した木造2階建て住宅の2階床伏せ図。赤で囲った計7本の梁に、梁せい240~360mmのスギ集成材を用いた(資料:福登建設)
全ての梁をスギのJAS材で設計した木造2階建て住宅の2階床伏せ図。赤で囲った計7本の梁に、梁せい240~360mmのスギ集成材を用いた(資料:福登建設)
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