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 厚生労働省は建築物衛生法に基づく建築物環境衛生管理技術者(通称:ビル管理技術者)の兼任要件を緩和するため、2021年中に政省令を改正し、22年4月1日の施行を目指す。これまでは原則として兼任を認めていなかったが、ICT(情報通信技術)の普及や発展を受けて、規制を緩和する。改正は厚労省の「建築物衛生管理に関する検討会」(座長:倉渕隆・東京理科大学教授)が21年7月30日に公表した報告書を踏まえて実施する。

建築物環境衛生管理技術者の兼任を検討する際のフロー。厚生労働省の「建築物衛生管理に関する検討会」でまとめた報告書に記載している(資料:厚生労働省)
建築物環境衛生管理技術者の兼任を検討する際のフロー。厚生労働省の「建築物衛生管理に関する検討会」でまとめた報告書に記載している(資料:厚生労働省)
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 建築物衛生法では、特定建築物の所有者などに対して、建築物環境衛生管理技術者の選任を義務付けている。特定建築物とは、興行場や学校、店舗、事務所などのうち、延べ面積が3000m2以上で多数の人が使用する建物を指す。

 管理技術者は、特定建築物の衛生環境に関する維持管理が基準に従って実施されるよう監督し、必要であれば所有者に意見を述べる。所有者などは意見を尊重しなければならない。これまでは原則として、兼任を認めていなかった。

 報告書では、(1)特定建築物の所有者などが、ビル管理会社などの維持管理権原者から意見を聞き取って管理技術者の職務遂行に支障がないことを確認し、(2)管理技術者と各特定建築物の所有者などが兼任について合意形成することを条件に、兼任を認めるのが適当だとした。職務の遂行に支障がないか、所有者などが定期的に確認する必要があるとも述べた。兼任できる棟数や延べ面積については上限を示していない。

 現行制度では、兼任を例外的に認める際の判断基準として、特定建築物間の距離や設備の類似性、維持管理権原者の同一性などを設けているが、これらについては削除することとした。ICTによって遠隔監視や点検作業の効率化などが可能であり、距離などが維持管理に大きな影響を与えないと確認できたことを理由に挙げている。

 ただし、あらゆる衛生管理がICTで対応できるわけではないため、ICTの導入をもって無条件に兼任を認めるのは不適当であるとくぎを刺した。維持管理権原者と管理技術者の双方で、ICTによってどの業務がどの程度軽減されるかなどを確認し、兼任について検討することが重要であるとした。