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 2021年9月1日にデジタル社会形成整備法(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律)が施行され、建築士による設計図書への押印が不要となった。設計・監理業務の契約時に建築士が発注者に交付する重要事項説明書の電子化も可能となった。施行に伴い国土交通省は同日、建築士関係団体に向けて技術的助言を発出した。

 デジタル社会形成整備法は、押印や書面に関する規制の見直しを進めるため、建築士法を含む48の法律を一括改正するもの。整備法の成立に伴い改正した建築士法施行令や建築士法施行規則も、同日に施行された。

 これまで1級建築士や2級建築士、木造建築士は設計図書への記名・押印が義務付けられていたが、改正によって押印が不要となった。設計図書を一部変更した場合も同様だ。構造設計1級建築士や設備設計1級建築士についても、法適合性を確認した際に必要だった設計図書への押印が廃止された。設計図書を電磁的記録により作成・保存する場合に必要だった電子署名も不要だ。このほか、構造計算の安全証明書と工事監理報告書についても押印を廃止した。

 契約時に発注者に対して交付する重要事項説明書については、これまで書面での交付を義務付けていた。施行によって、あらかじめ発注者に承諾を得たうえで、PDF形式のファイルなどを電子メールなどで提供できるようになった。

 同省は21年1月に、建築士法に基づく重要事項説明にテレビ会議などのIT(情報技術)を活用する「IT重説」の本格運用を始めている。今回の改正によって、業務のデジタル化がさらに進みそうだ。

 国交省建築指導課の横田圭洋課長補佐は、「これまでも設計図書を電磁的記録で作成・保存することはできたが、電子署名の負担が大きく、紙で保存しているという声があった。また、重要事項説明については、オンラインで実施する場合でも、事前に書面を郵送する必要があり手間がかかっていた。改正によってこれらを全てデジタル化できる」と語る。

 設計図書を電磁的記録で保存する場合は注意点もある。長期的な管理方法やセキュリティー対策の整備だ。アクセス制限や保存データへのアクセスログの記録、保存データのバックアップなどによって、データが作成時と同じ状態であると確認できるようにする必要がある。

国土交通省が建築士関係団体に発出した技術的助言(1338号)(資料:国土交通省)
国土交通省が建築士関係団体に発出した技術的助言(1338号)(資料:国土交通省)
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