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 日本有数の進学校として有名な開成学園(東京・荒川)は、大規模な校舎の建て替えを進めている。総延べ面積は約1万9000m2に及ぶ。1期工事として、高等学校の新校舎が2021年5月末に完成。一般的に屋上に設置される場合が多い太陽光発電設備を、新校舎では大通りに面する一部のガラス窓に導入した。今後、建て替え工事は2期・3期と続き、24年に全体が完成する予定だ。

開成学園の校舎。写真右が2021年5月末に完成した新校舎(写真:日経アーキテクチュア)
開成学園の校舎。写真右が2021年5月末に完成した新校舎(写真:日経アーキテクチュア)
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開成学園で進む建て替えのイメージ(資料:大成建設)
開成学園で進む建て替えのイメージ(資料:大成建設)
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 開成学園は、JR西日暮里駅前に位置する。中学校と高等学校の敷地が並び、高等学校側を建て替える。1期工事で完成した新校舎は、地下1階・地上6階建て。延べ面積は約9800m2で、構造は鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造だ。大成建設が設計・施工を手掛けた。

 新校舎の特徴は、複層ガラスの窓で発電している点だ。平常時には照明などの設備に電力を供給する。非常時には特定のコンセントに電力を供給し、携帯電話の充電などに使用できる。1枚当たりの出力は72.7W。新校舎の地上3~6階南側や3階東側の一部、合計42枚の窓に設置しており、今後完成する他の棟も含めると最終的に66枚設置する予定だ。

開成学園の新校舎の南側外観。太陽電池を組み込んでいる部分が黒く見える(写真:日経アーキテクチュア)
開成学園の新校舎の南側外観。太陽電池を組み込んでいる部分が黒く見える(写真:日経アーキテクチュア)
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 この技術は、大成建設とカネカが共同開発し、今回初めて実用化した。太陽電池を挟んだ合わせガラスと、Low-E膜を張ったガラスを組み合わせている。合わせガラスの内部には、4mm幅の太陽電池をストライプ状に配置し、室内からの視認性を損なわないようにした。

 太陽電池は室外側と室内側の両面で発電できる。ストライプ状に配置した太陽電池の隙間を光がすり抜けても、室内側窓ガラスのLow-E膜で近赤外線を反射し、室内側から太陽電池に当てて効率的に発電できる仕組みとしている。

ガラス下部の黒いしま模様がある部分に太陽電池を組み込んでいる(写真:日経アーキテクチュア)
ガラス下部の黒いしま模様がある部分に太陽電池を組み込んでいる(写真:日経アーキテクチュア)
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 大成建設とカネカは、環境経営に取り組む企業や、BCP(事業継続計画)を強化する企業、災害時の活動拠点となる公共施設、災害時の機能継続を強化したい集合住宅などにも提案していく考えだ。大成建設設計本部設備計画部の山口亮環境技術開発室長は、「カーボンニュートラルに向けて太陽光発電設備を増やす中で、建物の壁面は有効活用できる」と語る。学校では屋上を生徒の活動場所とする場合があるため、壁面の活用は有効な手段と言えそうだ。

 開成学園の新校舎に太陽光発電設備を導入する上では、導入後の発電データを取得する条件も合わせて提案し、窓ガラスに太陽電池を組み込んでいない仕様と同じ価格で設置した。