福岡市の市街地で頭1つ抜きんでた大規模オフィスビルが立つ。その角はピクセル状に削られている──。福岡地所(福岡市)が福岡市中央区天神で開発した「天神ビジネスセンター」だ。
建築デザインはOMA(オランダ・ロッテルダム)が手掛け、同社ニューヨーク事務所代表の重松象平氏が中心となった。基本設計は日本設計(東京・新宿)、実施設計・施工は前田建設工業が担当した。竣工日は2021年9月30日だ。
「天神ビジネスセンター」は地下2階、地上19階建てで、延べ面積は約6万1100m2、基準階貸し床面積は約2370m2だ。福岡市地下鉄空港線「天神駅」に直結している。地上1階の床下に免震装置を配置し、福岡市では初の大規模免震構造を採用した。新耐震基準の1.5倍の耐震性能を有する。10月から順次入居が進む。地下2階の飲食ゾーンは22年春開業の予定だ。
福岡市は15年、天神交差点を中心に半径500m以内を対象とした再開発促進事業「天神ビッグバン」を開始した。「天神ビジネスセンター」は43棟目の建て替えだ。同事業の目玉である、国家戦略特区による航空法高さ制限の特例承認と、容積率緩和などを付与する福岡市のインセンティブ制度「天神ビッグバンボーナス」を活用した建物は「天神ビジネスセンター」が初めて。
「天神ビジネスセンター」の敷地は高さ制限が約67mから約86~約90mに、容積率が800%から1400%に緩和された。同ビルは規制緩和を最大限生かし、高さを約89m、容積率を約1400%とした。
福岡市の高島宗一郎市長は21年10月4日の竣工式で「『天神ビッグバン』により高付加価値なビジネスを福岡市に集積する。福岡市を大きな夢が実現できる街へと変える事業だ。その第1号として、これからの天神のまちづくり、未来づくりをけん引するのが『天神ビジネスセンター』だ」と語った。