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 小幅のCLT(直交集成板)パネルを市松状に組み合わせて開口を確保することで、美観性・採光性・通風性を兼ね備えた耐震壁が登場した。構造計画研究所が開発した、木製耐震壁「CLT市松ブロック壁」だ。隈研吾建築都市設計事務所が意匠設計を手掛けた「平成学園ひまわり幼稚園」(高知県南国市)に採用された。構造計画研究所が2021年9月13日に発表した。

CLT市松ブロック壁を採用した「平成学園ひまわり幼稚園」の外観。CLTの耐力壁で耐震性を確保しながら、開口部を確保する。また、開口部が外観のアクセントにもなっている(写真:構造計画研究所)
CLT市松ブロック壁を採用した「平成学園ひまわり幼稚園」の外観。CLTの耐力壁で耐震性を確保しながら、開口部を確保する。また、開口部が外観のアクセントにもなっている(写真:構造計画研究所)
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CLT市松ブロック壁の構成と接合部の概要。Z形や逆Z形の鋼板をCLT壁パネルに挿入し、ドリフトピンで固定している(資料:構造計画研究所)
CLT市松ブロック壁の構成と接合部の概要。Z形や逆Z形の鋼板をCLT壁パネルに挿入し、ドリフトピンで固定している(資料:構造計画研究所)
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 CLT市松ブロック壁は、CLTパネルの隅角部を鋼板とドリフトピンで接合して構成する。大判CLTから開口を切り抜いて製作したパネルよりも高いせん断耐力を発揮する。ドリフトピンや鋼板が耐力を発揮するためだ。

 また、市松状に配置したCLTブロックの働きによって、構面全体が一体となってブレースのように耐力を発揮するのも特徴だ。構造計画研究所は、その効果を確認する実験を行った。通常のCLTパネル工法を想定して幅1.4m程度の袖壁を2枚並べた試験体と、市松ブロック架構の試験体を用いてせん断耐力を比較する実験だ。その結果、市松ブロック架構の試験体は、通常の架構の約1.5倍の耐力を発揮した。

 その理由について、構造計画研究所構造設計2部木質創造設計室の貴志拓哉氏は次のように解説する。「通常のCLTパネル工法を想定した架構に水平方向の力を加えた場合、それぞれの袖壁が回転しようとする。一方、市松ブロック壁では、パネルが個別に回転しようとするのを、他のパネルなどが押さえ込むような働きをして、壁全体が1つのブレースのようにせん断抵抗を発揮する」

 市松ブロック壁は、開口部が多いので採光や通風を確保できる。デザイン上のメリットとしては、市松状であることや、木材を現しで使用できることが挙げられる。また、CLTに鋼板を挿入することで、金物が露出しないように配慮している。さらに、小幅パネルを使用することで、大判のCLTパネルを使用する場合と比較して持ち運びや施工が容易になり、パネル自体の製造もしやすい。

CLT市松ブロック壁の構面試験の資料。左が通常のCLTパネル工法を想定して袖壁を用いた試験体。開口部を想定して、袖壁の間に垂れ壁を設けている。右が市松ブロック架構。両試験体とも高さは約3m、幅約4m、厚さ約150mm。水平方向に力を加える実験の結果、市松ブロック架構が通常の架構の約1.5倍の耐力を発揮した(資料:構造計画研究所)
CLT市松ブロック壁の構面試験の資料。左が通常のCLTパネル工法を想定して袖壁を用いた試験体。開口部を想定して、袖壁の間に垂れ壁を設けている。右が市松ブロック架構。両試験体とも高さは約3m、幅約4m、厚さ約150mm。水平方向に力を加える実験の結果、市松ブロック架構が通常の架構の約1.5倍の耐力を発揮した(資料:構造計画研究所)
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