會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)は、練り混ぜ中のコンクリートに二酸化炭素(CO2)を噴射して固定する低炭素技術を国内で初めて実装した。まずは、住宅用のH型PC(プレストレストコンクリート)パイルを販売する。価格は従来品と変えない。
同社が実装したのは、20年7月にライセンス契約を締結したカナダのCarbonCure Technologies(カーボンキュアテクノロジーズ)の技術だ。産業用ガス大手のエア・ウォーターと提携してCO2の供給体制を整え、會澤高圧コンクリートの持つ2次製品プラントの鵡川(むかわ)工場と生コンプラントの札幌菊水工場で実装に至った。
CO2を固定化する仕組みは以下の通り。コンクリートの製造時にミキサー内で液化CO2を噴射して、練り混ぜ水に炭素イオンとして溶け込ませる。炭素イオンはセメントから溶出したカルシウムイオンと結合し、瞬間的に400ナノメートル級の微細な炭酸カルシウムの鉱物を生成。セメント表面に付着したこの鉱物の周辺に、コンクリートの主要硬化成分が次々と付着する。この効果によってコンクリートの圧縮強度が従来と比べて高まるため、セメントの使用量を減らすことができる。
カーボンキュアは、CO2の計量装置と、プラントのミキサー内部に直接注入する装置を提供。會澤高圧コンクリートが利用料などを支払う。