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新型コロナウイルス感染症対策として換気が注目されるなか、竹中工務店は人と人の距離から「密」を検知して局所的に換気量を調整する制御システムを開発。大阪市中央区に立つ御堂ビルディングの会議室に設置した。2021年11月25日に発表した。
新システムは、会議室などを複数のゾーンに区分して可変風量空調システム(VAV)による局所換気装置と画像センサーで換気量を制御するものだ。画像センサーで人と人の距離を測り、密接状態と判定した場合にそのゾーンだけ換気量を約2.5倍に増やす。
他のゾーンの換気量は変更しないので過剰な熱損失が生じず、省エネルギーに寄与する。御堂ビルディングでは1つのゾーンを14m2程度に区切って制御している。
画像センサーでは1分間に1回の頻度で人と人の距離を測定し、5分連続で1m以内に近づいている状況を検知した場合、密接状態と判定。換気量を増やして運転する。密接状態の判定基準を1m以内としたのは、厚生労働省の濃厚接触者の定義に従っている。
一般に換気装置が適切に機能しているかどうかは二酸化炭素濃度で評価する。だが同社の実験によると、人と人の距離と二酸化炭素濃度に相関性はなかった。そのため、画像センサーで検知する人と人の距離による判定を導入した。
新システムは照明と連動できる。密接状態と判定した場合、照明を点滅させて注意を喚起することも可能だ。モニタリングの記録は装置に取り付けたSDカードに記録される。クラスター発生の際など感染経路の検証に用いることができる。