英国の建築家リチャード・ロジャース氏が、2021年12月18日に死去した。88歳だった。設計事務所は死因を明らかにしていない。ロジャース氏は1971年にイタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏をパートナーに迎えて、仏パリの文化施設「ポンピドゥー・センター(Centre Pompidou)」の国際コンペを勝ち取ったことで一躍世界から注目を集めた。
2012年に実施された国立競技場の基本計画の国際デザイン・コンクールでは審査員を務めた。プリツカー建築賞(07年)や高松宮殿下記念世界文化賞(00年)など数々の賞を受賞した。
ロジャース氏は1933年にイタリア・フィレンツェで生まれた。77年、英ロンドンに建築設計事務所Richard Rogers Partnershipを設立。2007年に事務所名をRogers Stirk Harbour + Partners(RSHP)に変更した。常に最先端の技術を駆使して、「ロイズ・オブ・ロンドン(Lloyd’s of London)」(英ロンドン、1986年竣工)や「ミレニアムドーム(The Millennium Dome)」(英ロンドン、99年竣工)など前衛的な建築を次々と設計した。
98年には英国副首相からの任命を受けて、英国政府が設置する「アーバン・タスク・フォース」の議長に就任。ロンドンの都市デザインに関するアドバイザーや、スペイン・バルセロナの都市戦略協議会のアドバイザーを務めるなど、世界中で活躍した。日本では「歌舞伎町プロジェクト林原第5ビル」(東京・新宿、93年竣工)や「南山城小学校」(京都府南山城村、2003年竣工)の設計を手掛けた。