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 愛媛県のずさんな施設管理の実態が明らかになった。同県は2021年12月21日、建築基準法施行規則で原則10年ごとに実施を義務付けている特定建築物の外壁の全面打診調査を、県が適切に実施していなかったと発表した。対象となる施設の約8割で、調査を怠っていた。

愛媛県の発表資料。多くの施設で全面打診調査を実施していなかったことを明らかにした(資料:愛媛県)
愛媛県の発表資料。多くの施設で全面打診調査を実施していなかったことを明らかにした(資料:愛媛県)
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 全面打診調査とは、外壁のタイルやモルタルなどが剥落するリスクを把握するために、テストハンマーなどを用いて実施する調査のこと。愛媛県は、県が所有・管理する庁舎や学校など計160施設の計299棟で調査を実施していなかった。調査が必要な施設の約80%、棟数の約57%に当たる。

 外壁の修繕が必要な施設で工法を検討している際に、調査の未実施が発覚。全庁を対象に調べたところ、多くの施設で調査を怠っていたことが明らかになった。県がこの事実を発表した後、県内の西条市と今治市、松野町はそれぞれが所有・管理する特定建築物の調査履歴を独自に調査。県と同様に、全面打診調査を実施していない施設があったと21年12月末に発表した。

 西条市で未実施だったのは149棟で、調査が必要な全棟数の96%に相当する。今治市は168棟で、同じく86%に相当する。松野町は調査が必要な2棟とも未実施だった。県内の他の自治体でも調査履歴を調べており、未実施の施設の存在が今後、明らかになる可能性がある。

 建基法12条では、自治体や民間事業者といった施設の所有者・管理者に対して特定建築物の点検結果を定期的に特定行政庁へ報告するよう義務付けている。

 報告時期や点検方法などを定めた改正建基法施行規則と国土交通省告示282号が08年4月に施行され、3年ごとに手の届く範囲の外壁タイルやモルタルなどを打診調査することや、竣工または外壁改修から10年を経るごとに全面打診調査を義務付ける規定などが加わった。

 全面打診調査が必要な箇所は、剥落すると歩行者に危害を加える恐れのある外壁面。全国で外壁タイルの剥落事故などが発生したことを受けて導入された。

 建基法101条では、定期報告をしなかった、あるいは虚偽の報告をした場合は100万円以下の罰金を科すと規定している。ただし、点検漏れがあった場合の罰則規定はない。