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 スペインの建築家リカルド・ボフィル氏が、2022年1月14日に死去した。82歳だった。スペインやフランスのメディアによると新型コロナウイルスに感染していた。ボフィル氏はポストモダンの代表的な建築家だ。世界中で文化施設や高層ビル、空港など1000件以上のプロジェクトを手掛けた。日本では「東京銀座資生堂ビル」(東京・中央、00年竣工)や「ラゾーナ川崎プラザ」(川崎市、06年竣工)などの設計に関わったことで知られる。

リカルド・ボフィル氏はポストモダンの代表的な建築家だ(写真:Ricardo Bofill Taller de Arquitectura)
リカルド・ボフィル氏はポストモダンの代表的な建築家だ(写真:Ricardo Bofill Taller de Arquitectura)
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東京銀座資生堂ビルは地下2階、地上11階建て。2000年に竣工した(写真:日経クロステック)
東京銀座資生堂ビルは地下2階、地上11階建て。2000年に竣工した(写真:日経クロステック)
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ラゾーナ川崎プラザはJR川崎駅に直結している。2006年に竣工した(写真:日経クロステック)
ラゾーナ川崎プラザはJR川崎駅に直結している。2006年に竣工した(写真:日経クロステック)
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 ボフィル氏は1939年にスペイン・バルセロナに生まれた。39年はスペイン内戦が終結し、フランコ独裁政権が始まった年だ。フランコ独裁政権下のバルセロナは中央政府による文化的な抑圧を受けていた。ボフィル氏は57年にバルセロナ建築学校に入学するが、フランコ独裁政権に反対して退学処分となり、スイス・ジュネーブの大学で建築を学んだ。

 その後スペインに戻り、63年に建築家や社会学者、哲学者など様々な専門家から成るリカルド・ボフィル・タジェール・デ・アルキテクトゥーラ(Ricardo Bofill Taller de Arquitectura、以下RBTA)を設立した。スペインはもちろん、フランスや米国、日本など世界中でプロジェクトを手掛け、世界を代表する建築家になった。

 しかし「スペインの建築界においてボフィル氏は必ずしも中心的な存在だったとは言えない」。スペインの建築史に詳しい東京都立大学の伊藤喜彦准教授はこう指摘する。

 「20世紀後半のスペイン建築界は同国内のプロフェッサーアーキテクトを中心に形成されていた。ボフィル氏は外国の大学出身であるだけで、スペイン建築界の中枢に達することが困難だった。スペイン国内と国外でボフィル氏の評価には隔たりがある」(伊藤准教授)