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 東京海上ホールディングス(HD)と東京海上日動火災保険が東京都千代田区で計画する東京海上日動ビル本館および新館の建て替え計画を巡り、同ビル本館の設計に関わった事務所の元所員らによる団体が建物の改修保存を求めている。同会は2022年2月に有識者の見解や建物の保存に関する意見をまとめた書籍を出版する予定だ。

 ビル本館の保存を求める団体「東京海上ビルディングを愛し、その存続を願う会」は、21年3月に東京海上HDが本館と新館を一体で建て替える計画を発表したことを受けて発足。本館の設計に携わった前川國男建築設計事務所(現・前川建築設計事務所)の元所員を中心に、約20人で構成している。21年12月22日に東京都渋谷区の建築家会館で会見を開き、東京海上HDなどに公開質問状を提出したと発表した。

会見に臨む「東京海上ビルディングを愛し、その存続を願う会」のメンバー。写真左から2人目が奥村珪一会長(写真:日経クロステック)
会見に臨む「東京海上ビルディングを愛し、その存続を願う会」のメンバー。写真左から2人目が奥村珪一会長(写真:日経クロステック)
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 同会は1974年に竣工した本館を「日本の超高層ビルの嚆矢(こうし)であり建築作品として非常に優れている」と評価し、改修して残すよう求めている。東京海上HDと東京海上日動、東京海上日動あんしん生命保険の3社に対して、21年12月17日に公開質問状を提出した。

 質問状では、(1)築50年に満たない建物をなぜ取り壊すのか、(2)建て替えは東京海上HDが掲げる気候変動対策の推進やSDGs(持続可能な開発目標)の達成といった方針と整合性が取れないのではないか、(3)東京海上HDが考える本館の歴史的価値および継承方法の具体的な内容、(4)改修保存の可能性をどのように検討したのか、(5)本館の広場にある彫刻作品をどのように取り扱うのか──の5点について説明を求めている。回答の期日は設けていない。

現在の東京海上日動ビル本館(右の茶色の建物)と新館(写真:東京海上日動火災保険)
現在の東京海上日動ビル本館(右の茶色の建物)と新館(写真:東京海上日動火災保険)
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 同会は今後書籍を出版する他、建物の存続に賛同する人を広く募るために、新たな組織の設置を検討している。